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「FIRE 最強の早期リタイア術」クリスティー・シェン&ブライス・リャン 評価:4点|FIRE入門から中級クラスの知識と手法を総覧する、本場アメリカ仕込みの決定版FIRE書籍【資産運用】

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FIRE最強の早期リタイア術
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経済紙やビジネス書の界隈においてFIREという言葉が耳目を集めるようになって久しいですが、そんなFIREの考え方や具体的実践方法を示した書籍として、特にFIREの起源国であり本場でもあるアメリカ発の書籍として紹介されることの多い著作が本書となります。

当概念に詳しい方にとっては耳にタコかもしれませんが、FIREとはFinancial Independent Retire Earlyの略称であり、日本語に訳せば「経済的に独立して早期に退職する」という意味になります。

要は会社組織への金銭的な依存をなくし、一般的な退職年齢とされる60歳や65歳を待たずに退職することで自由な人生を謳歌しようというわけです。

そう聞くとフリーランスや一人親方として独立するということかな、と考える方が多数でありましょうし、そういった手に職をつけて独立するという観念もFIREと無関係なわけではありません。

しかし、この時代に置いて新しく設えられたFIREという言葉は、どちらかというと、そういった職業人としての自立を示すのではなく、専ら資産運用で生活費を賄えるようにすることで、(非自発的)労働そのものから独立してしまおうという意図の濃いものとなっております。

ということは、本書は所謂「株やFXで大勝ちしよう」という書籍なのでしょうか、いえ、そうではありません。

プロが専売特許とする高度な金融テクニックに依存しているのならば、それこそ、高度な技術を携えた専業投資家として独立するのと変わらず、それはまさに職業人としての独立と何ら変わるものではないでしょう。

そうです、FIREという概念は、それなりの労働とやや過激ともいえる節制の組み合わせでそこそこの資産を構築し、それを単純な資産運用で減らないように維持するという、これまでの常識を覆すような「経済的自立」の方法を指し示す概念として登場した言葉なのです。

果たして、そんなことが可能なのでしょうか。

本書はまさに、そのヒントと実例が著された書籍となっております。

クリスティー・シェン (著), ブライス・リャン (著), 岩本 正明 (翻訳)
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目次

第1章 お金のためなら血も流す

第2章 桃のシロップ、段ボール箱、コーラの缶

第3章 (まだ)自らの情熱に従うな

第4章 あなたは私のものだ

第5章 誰も助けにきてはくれない

第6章 ドーパミンについてわかったこと

第7章 マイホームは投資ではない

第8章 本物の銀行強盗

第9章 株式市場の暴落をいかに乗り切るか

第10章 私を救ってくれた魔法の数字

第11章 現金クッションと利回りシールド

第12章 お金を浮かすために旅行をする

第13章 バケツ・アンド・バックアップ

第14章 インフレ、保険も恐るるに足らず

第15章 子どもはどうする?

第16章 早期リタイアの負の側面

第17章 自由になるのに100万ドルは必要ない

第18章 我が道を行け

感想

序章、及び第1章と第2章は主に著者の幼少期の記憶が語られます。

FIRE本なのにいきなり著者の自分語りとは安っぽいビジネス書の類書だな、とこの時点で思われた方もいらっしゃるでしょう。

確かに、構成としては安っぽいビジネス書のそれなのですが、本書の著者が語る苦労話は凡百のビジネス書に表されている薄っぺらい「苦労話」とは段違いの深刻さを持った「苦労話」なのでなかなか読みごたえがあります。

本記事のタイトルを呼んだ時点でお気づきかもしれませんが、本書の著者は中国系アメリカ人であり、幼少期を中国で過ごしています。

医療廃棄物の山から値段のつきそうなものを漁るというのが著者の日課であり、基本的な衣食にも事欠く生活環境で過ごした著者は創造力や回復力、そして忍耐力の礎となる「欠乏マインド」をそこで得たのだと説きます。

そして、ようやく第3章から本格的なお金の話が始まるのです。

大学進学を考える際、実用的な専攻に進むか、それとも、自分の趣味を究められる専攻に進むかは多くの人々にとって考えどころでしょう。

この点について、著者は所謂「コスパ」を重視して選びなさいという結論を示します。

章題の通り「(まだ)自らの情熱には従うな」というわけです。

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