小説 「高野聖」 泉鏡花 星2つ

高野聖
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1. 高野聖

明治後期から昭和初期にかけて活躍した小説家、泉鏡花の代表作です。

泉鏡花は観念小説や幻想小説の書き手として知られ、水木しげるによる漫画化作品や、金沢市主催の泉鏡花文学賞にその名を残しています。

本作は今でいうところの伝奇ホラー(+ミステリ)といったところに当たる作品。ストーリー自体は平凡でしたが、時代を考えると先鞭として評価が高いのも頷けます。

2. あらすじ

旅の宿を共にした、ある僧侶が語った話。

飛騨の山越えの途中、道行く商売人に僧侶は道を尋ねる。商売人曰はく、一方は松本に続く本道。もう一方は行く人が帰ってこぬ旧道。先を行っていた富山の薬売りが旧道に入るのを見ていた僧侶は、彼を引き戻すべく意を決して旧道へと歩を進める。

しかし、行っても行っても薬売りは見つからない。森を抜け、ようやくたどり着いた一軒の人家には美女が住んでいた。宿泊を願い出た僧侶に、美女は躊躇いながらも承諾するのだが......。

3. 感想

「世にも奇妙な物語」に出てきそうな話です。

美女と過ごした不思議な一晩の思い出。宿泊後も後ろ髪をひかれる思いの僧侶に、美女の家に出入りしている男が語る真相。それは定番ながら面白く、人間の業や欲のいたたまれなさを感じます。

古風な文体で敬遠されがちですが、中身そのものは軽妙な「ちょっと不思議でちょっと怖い話」。近現代文学における幻想小説の萌芽を感じてみてはいかがでしょうか。

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