恋愛テクニックについての動画を専門とし、登録者数35万人超を誇る人気YouTuber「仮メンタリストえる」さん。
彼がYouTubeで紹介した恋愛テクニックを凝縮した著作が本作となります。
数多くの「モテテクニック」が紹介されており、ハウツー本として一定の価値はあるのでしょう。
ただ、「恋愛慣れしていない男性」向けであると銘打ちながら不親切な部分が多く、本当に「恋愛慣れしていない男性」が本書を使いこなせるかと言われればかなり疑問です。
加えて、アカデミックな心理学解説本や面白い雑学本という枠組みとしてもイマイチ。
最近流行している心理学ベースの「恋愛テクニック」を知識として仕入れることができるという程度の価値しか持っていない本という評価です。
目次
Part1 出会い
Part2 LINE編〈初デートまで〉
Part3 待ち合わせ
Part4 ランチ
Part5 LINE編
Part6 ディナーのお店決め
Part7 水族館デートからディナーまで
Part8 帰路
Part9 告白前
Part10 告白
感想
主人公であるリョウタが懇親会会場でマドカと出会い、告白して恋人になるまでの過程を追っていく中で恋愛テクニックを披露していくという形式の本になっております。
笑顔で話しかける、相手の目を見て話す、LINEは即レスしない、隣同士に座って親密度を上げる、デートは水族館がいい、エンタメの話題は避けたほうがよい。
紹介される恋愛テクニックはそれほど凝ったものではなく、敢えて言ってしまえば凡庸です。
しかし、だからこそ誰にでも実行できる方法になっておりますし、凝り過ぎな俗論を撃つという意味合いもあるのでしょう。
「イケメンではなく」「恋愛慣れしていない」ような男性向けに書かれていることが本書の序盤で宣言されるのですが、まさに「基本を学べ」ということなのだと思います。
紹介されているテクニックは一般的な「人間関係を良好に保つコツ」として使える技術も多く、基礎的なコミュニケーション本としての役割も負っています。
ただ、本書に書かれている事項を実行に移すには少し勇気が要るというか、人によっては本書に説得されきらない部分があると思います。
その理由は、まず第一に、リョウタとマドカの物語があまりにも順調に進みすぎる点にあります。
リョウタは「既に恋愛テクニックを身に着けきった人物」であり「恋愛経験豊富な人物」という設定で登場するため、女性相手に怖気づいたり狼狽えたりすることはありません。
次々と恋愛テクニックを駆使してマドカを虜にしていきます。
この時点で「恋愛慣れしていない男性」にとって感情移入しづらい人物になってしまっているのではないでしょうか。
「笑顔で話しかけるべき」とか「行きたい場所の話をするべき」とか言われたって、それができるような自信や会話誘導力自体に不足を感じている場合が多いでしょうし「女性からのLINEをなかなか返さないようにする」というテクニックは使う側もかなり不安であると思います。
そんな自信や基礎的なコミュケーション力、LINE会話力を身につけている前提がないと本書の内容を実行に移すのは難しいと思います。
その意味で、リョウタが失敗をする場面がないのは痛いですね。
「こういう行動・会話を女性は好む」という話はあっても、「こういう行動・会話を女性は嫌う」という話が載っていないのです。
「モテない」あるいは「デートに誘うのも難しい/断られる」人というのは「女性好み」の行動や会話ができていないというよりむしろ「女性が嫌う」行動や会話をしてしまっている傾向があるのではないでしょうか。
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