SF

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小説特集

【海外エンタメ小説】おすすめ海外エンタメ小説ランキングベスト7【オールタイムベスト】

本ブログで紹介したエンタメ小説の中からベスト7を選んで掲載しています。「エンタメ小説」の定義は難しいところでありますが、本記事では、肩の力を抜いて楽しめる作品でありながら、同時に深い感動も味わえる作品を選ぶという方針でランキングをつくりました。第7位 「オリエント急行の殺人」アガサ・クリスティ【華麗な推理と意外な犯人が魅力の名作古典ミステリ小説】・あらすじ舞台は真冬の欧州を走る国際寝台列車オリエント急行の車内。ロンドンへ移動するため、名探偵エルキュール・ポワロはイスタンブール発カレー行の列車に乗車していた。しかし、猛吹雪に飲まれた列車はヴィコンツィ(クロアチア)とブロド(ボスニア・ヘルツェゴヴィナ)のあいだで立ち往生してしまう。不安と焦燥に包み込まれる車内、そして事件は起こる。サミュエル・ラチェットというアメリカ人実業家が刺殺された姿で発見されたのだ。ポアロは乗り合わせた乗客たちを一人一人呼び出し、尋問にかける。相矛盾するような証言はしかし、どれもが真実めいて見える。十二か所もの刺し傷を負った死体の謎。果たして、犯人は誰なのだろうか。・短評序盤で殺人事件が起きたあとは、ポワロがひたすら...
星新一

「地球から来た男」星新一 評価:2点|唯一無二の超短編作家による手軽で不思議な物語【ショートショート作品集】

「ショートショートの神様」として知られる星新一さんの作品集。ショートショートを精力的に発表し続けた異端の作家であり、1957年デビューでありながら現在においてもその作品群は根強い人気を誇っております。日本経済新聞社が毎年開催している小説新人賞「星新一賞」に名前を冠していることもその証左だと言えるでしょう。文学賞の受賞こそ2度(日本推理作家協会賞・日本SF大賞特別賞)と少ないですが、刊行された作品集の数は膨大で、漫画化やドラマ化されたメディアミックス作品も枚挙に暇がありません。そんな星新一さんの作品集の中でも、本作は2007年に角川文庫から発売された比較的新しい作品集です。SF色の濃い表題作から、ミステリ仕立ての作品、あるいはヒューマンドラマに重きを置いた作品など、バラエティ豊かな内容となっておりました。あらすじ・地球から来た男産業スパイとして活躍していた男だが、ある日、潜入先で産業スパイであることが暴かれてしまう。口封じのため、特殊な装置を使って遥か遠くの惑星に飛ばされてしまった男。しかし、男の眼前には「地球」そっくりの光景が広がっていて……。・包み五十歳を超えても貧乏画家である男の家...
小説特集

【エンタメ小説】おすすめエンタメ小説ランキングベスト10【オールタイムベスト】

本ブログで紹介したエンタメ小説の中からベスト10を選んで掲載しています。「エンタメ小説」の定義は難しいところでありますが、本記事では、肩の力を抜いて楽しめる作品でありながら、同時に深い感動も味わえる作品を選ぶという方針でランキングをつくりました。第10位 「時をかける少女」筒井康隆【学園SF時間移動ジャンルを生み出した読み継がれる古典】・あらすじある日、中学3年生の芳山よしやま和子かずこは、同級生の深町ふかまち一夫かずお・浅倉あさくら吾朗ごろうと一緒に理科室の掃除をしていた。掃除を終え、隣の理科実験室に用具をしまおうとすると、理科実験室から奇妙な物音が聞こえてくることに和子は気づく。恐る恐る理科実験室の扉を開ける和子。しかし、和子が明けた瞬間に中にいた人物は別の扉から逃亡したようで、残っていたのは液体の入った試験管だけ。しかも、試験管の一つは割れて液体が床にこぼれている。そして、液体から微かにラベンダーの香りがすることに気づいた瞬間、和子は失神してその場に倒れ込んでしまう。そんな不思議な体験をした和子は、その数日後、悲劇に襲われる。登校中、信号無視のトラックが和子に突っこんできたのだ。...
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時をかける少女

【時をかける少女】昭和の青春をノスタルジックに描く名作SF小説の実写映画版 評価:2点【大林宣彦】

1983年公開の旧い映画ですが、近年でも話題に上ることが多い作品です。広島県尾道市を舞台にした「尾道三部作」の一作として、大林宣彦監督の代表作に連ねられています。同監督が2020年4月に亡くなられたため、4月18日には追悼の意味を込めた再放送が行われたりもしました。本作が恒常的に注目を集める理由として、原作である同名小説がメディアミックスの底本として定番化しており、近年においても度々リメイクされていることの影響が大きいでしょう。2006年のアニメ映画(監督:細田守、主演:仲里依紗)、2010年の実写映画(監督:谷口正晃、主演:仲里依紗)、2016年のテレビドラマ(主演:黒島結菜)、2015年の舞台版(演劇集団キャラメルボックス)と、2000年代においてもその勢いは留まるところを知りません。本ブログでも、原作小説及び2006年のアニメ映画版を既にレビュー済みです。リメイクされるたびに、「時をかける少女」映像化の元祖として注目を集めるのが今回取り上げる1983年の実写映画版であり「元祖」足りうるだけの知名度を維持しながら愛され続ける作品になっております。また、注目を集める二つ目の理由として...
アーサー・C・クラーク

「都市と星」 アーサー・C・クラーク 評価:2点|快適で無機質なディストピア世界、青年による脱出と帰還の冒険譚【古典SF小説】

「2001年宇宙の旅」や「幼年期の終わり」で知られるSFの巨匠、アーサー・C・クラークの作品。1956年に出版された作品ですが、2009年に新訳版が出るなどいまでも根強い人気を誇っております。そんな本作、SFの人気作品というだけあってSF的な設定や世界観は魅力的で面白いと感じましたが、肝心のストーリーがやや冗長で起伏に欠けていると思いました。序盤では閉じられた世界から新しい世界に主人公が踏み込むまでが長すぎ、終盤では主人公が宇宙に旅立ってその現況を眺めるという展開にしてしまったことで風呂敷が広がり過ぎて展開が拙速かつ大味になっています。あらすじ物語の舞台は遥か未来の地球。ダイアスパーという都市では人間生活の全てをコンピュータが管理しており、生誕や死さえもその例外ではない。人間のデータは全て「メモリーバンク」に記録されており、人間は両親の身体からではなく「メモリーバンク」から生まれ、そして死にたくなったときには再び「メモリーバンク」へと還り、時間をおいて新しい肉体を得て生まれ変わるというサイクルを繰り返していた。人間の一生は主にコンピュータが提供する遊戯や芸術活動に割かれ、誰も彼もダイア...
パプリカ

アニメ映画 「パプリカ」 監督:今敏 星1つ

1. パプリカ2006年公開のアニメ映画で、監督は「PERFECT BLUE」や「千年女優」、「東京ゴッドファーザーズ」を手がけた今敏さん。筒井康隆さんの同名小説が原作で平沢進さんが主題歌を手がけるなど、この手の作品が好きな人には好まれる面子が揃っているといえるでしょう。「千年女優」は当ブログでもレビュー済みです。そんな濃密な面子によって製作された本作ですが、過度にマニア向けだったというのが妥当な評価でだと思います。映像表現の技術的な面には見るべきものがあるのかもしれませんが、普通の人が普通に見てエンタメとして楽しめるような映像表現にはなっておりません。さらに、物語という点に目を向けると全体的に稚拙な部分が多く、まるで自意識過剰な学生が急ピッチで撮影しましたとでもいうようなちぐはぐ感が目立っておりました。2. あらすじ主人公、千葉敦子(ちば あつこ)はサイコセラピストとして働いている。「DCミニ」という装置を使って患者の夢の中に入り、精神治療を行うことが彼女の仕事だ。そんなある日、「DCミニ」の開発元であり敦子の勤め先でもある精神医療総合研究所から「DCミニ」が盗まれてしまう。当初、犯...
orange

「orange」高野苺 評価:2点|素敵な友情が炸裂するハイテンポな”リア充文学”【少女漫画】

2015~2016年における大ヒット漫画の一つで、名前くらいは聞いたことがある人が多いのではないでしょうか。「このマンガがすごい!」などでランキング上位入りを果たし、累計発行部数は500万部近くに到達。アニメ化はもちろん、土屋太鳳さんと山崎賢人さん主演で実写映画にもなっています。高野苺さんが漫画家としてジャパニーズドリームを掴んだ作品ともいえるでしょう。おおまかな感想としては、「未来から手紙が届く」というSF要素と王道少女漫画展開を合わるという手法が斬新で(意外にもこれまでなかったんですね)、画力も高く、双葉社版の装丁も魅力的で大ヒットしたのは頷けます。ただ、主人公二人の魅力と、物語の作り込みという点ではイマイチな点が多く、じっくり読んで味わうには不十分だと感じました。後世に残る作品というよりはカジュアルに消費されていく作品の成功作という印象です。あらすじ舞台は長野県松本市。高校二年生に進級した高宮菜穂(たかみや なほ)は、始業式の日の朝に奇妙な手紙を家の郵便ポストに発見する。差出人は10年後の自分で、自分が経験した後悔を繰り返さないようにするため、手紙の内容の通り行動して欲しいという...
ダニエル・キイス

「アルジャーノンに花束を」ダニエル・キイス 評価:3点|特別な手術を受けた知的障害者が直面する知性の幸福と傲慢の悲哀【古典SF小説】

アメリカのSF作家、ダニエル・キイスの作品で、1959年に中編として、そして1966年には長編に書き直されて発表されています。ネビュラ賞とヒューゴー賞という権威ある賞を受賞しており、日本でも2015年に新版が出るなど、定評ある古典として読まれ続けています。感想としては、「手堅い名作」という印象。斬新な設定で唯一無二の地位を確立しており、特殊な題材ながら人を選ばない筆致には素晴らしいものがあります。一方で、これほど突飛な設定ながらあと一押しとなるようなどんでん返しなどがないところはやや肩透かしでありました。あらすじチャーリィ・ゴードンは知的障がい者で、ビークマン大学知的障がい者成人センターに通いながらパン屋で下働きをしている。読み書きも碌にできない彼だったが、ある日、ビークマン大学の二―マー教授とストラウス博士からある実験への協力を求められる。それは、チャーリィの知能を劇的に高める手術のドナーになって欲しいというものだった。賢くなりたい、賢くなればもっとみんなの期待に応え、仲良くなれるはずだと考えていたチャーリィ。もちろん、彼はこの依頼を快諾する。手術を受けた彼はゆっくりとしか進まない知...
時をかける少女

アニメ映画 「時をかける少女」 監督: 細田守 星4つ

1. 時をかける少女民放とNHKで延べ12回放映されているアニメ映画で、すっかり夏の定番となった作品と言えるでしょう。筒井康隆さんの有名原作に、「デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム」で頭角を現していた細田守さんを監督として迎え、「新世紀エヴァンゲリオン」のキャラクターデザインを務めた貞本義行さんと、「もののけ姫」の美術監督だった山本二三さんが脇を固めるという豪華布陣。ミニシアターでの上映から異例のロングランを成し遂げた出世映画でもあります。非常に凝った脚本が素晴らしく、演出も「静」と「動」のバランスがとれていて、これからも定番中の定番であり続けて欲しいと思わせられる映画になっております。 2. あらすじ紺野真琴(こんの まこと)は高校2年生。男友達の間宮千昭(まみや ちあき)や津田巧介(つだ こうすけ)とキャッチボールやカラオケで放課後の時間を過ごすような平凡な日々を送っている。そんなある日、真琴はひょんなことから自身がタイムリープの能力を得ていることに気づいてしまう。タイムリープの能力を得た真琴は、テストを受けてからテストを受ける前の時間に戻って好成績を収めたり、カラオケで...
君の名は

アニメ映画 「君の名は。」 監督:新海誠 再考 星2つ→星3つ

1. 君の名は。再考かつて否定的な記事を書いた作品ですが、なぜこの作品が売れたかについてぼんやりと考えておりますと、なんとなく思いついたことがありましたので、「再考」と題してもう一度とりあげようかと思います。フィクションにおける非リアリティと奇跡についての考察です。君の名は。posted with カエレバ神木隆之介 「君の名は。」製作委員会 2017-07-26Amazon楽天市場
打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?

「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」 新房昭之 評価:1点|青春恋愛SF要素をそれっぽく詰め合わせただけの意味不明作品【アニメ映画】

1993年に岩井俊二監督が手掛けた同名テレビドラマを原作としたアニメ映画。広瀬すず、菅田将暉、松たか子と、有名女優・俳優が声優として起用されています。宣伝を含め、出版社やテレビ局が本腰を入れて予算を投入したのは分かるのですが、結果的に意味不明という評価を受けても仕方がない作品になってしまったと思います。あらすじとある海辺の町に暮らす中学一年生、島田典道(しまだ のりみち)。夏休みの登校日、クラスメイトの男子達は「花火は横から見たら丸いのか、平べったいのか」という話題で盛り上がっていた。そう、この日はお祭りで打ち上げ花火が上がる日でもあった。そんな中、典道はクラスメイトの女子である及川なずな(おいかわ なずな)から「かけおち」に誘われる。しかし、これは典道が導いた結果だった。当初、なずなは典道の友人である安曇祐介(あずみ ゆうすけ)を誘っていたのだが、典道は手に入れた「もしも」の力で運命を変えたのである。母親の再婚に伴う引っ越しに抵抗したいなずな。典道となずなは逃避行のなかで何度も両親や友人に捕まってしまうが、そのたびに「もしも」を使ってやり直す。そして、やり直すたびに歪になり、現実感を...
フィリップ・K・ディック

小説 「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」 フィリップ・K・ディック 星2つ

1. アンドロイドは電気羊の夢を見るか?映画「ブレードランナー」の原作であり、SFの古典名作といえる作品。特徴的な日本語訳タイトルの語感も有名で、多くのパロディ元になっています。そんな本作、設定そのものは面白いのですが、特にどんでん返しや繊細な感情描写があるわけではなく、「まぁ、こうなるだろうな」という展開が続く印象。あまりにもベタだと感じてしまうのは、本当に面白くないからか、古典の中の古典だからか迷ってしまいます。アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))posted with ヨメレバフィリップ・K・ディック 早川書房 1977-03-01AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo
イヴの時間

【近未来SF】アニメ 「イヴの時間」 監督:吉浦康裕 星3つ

1.イヴの時間人間とアンドロイドが共存する近未来を舞台にしたアニメで、「アルモニ」を手がけた吉浦康裕さんが監督を務めております。インターネット上のみで配信された作品となっており、全6話で、最終話以外は15分、最終話だけ30分という「テレビ」アニメではあまり見ない構成になっております。そんなマイナーな出所の作品ながら界隈では評価が高く、第9回東京アニメアワード優秀賞OVA部門を受賞し、第14回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門の審査員推薦作品にも選ばれた作品です。その人気の高さから2010年には劇場版も製作され、公式DVD及びBlue-rayも発売されました。Blue-rayの海外版についてはクラウドファンディングが成功し、8か国語の字幕に加え、英語吹替版も製作されるなど、飛躍を果たした作品だといえるでしょう。私としても、「アンドロイドたちが人間の心を理解しようと葛藤する」というなかなか珍しい切り口に感心し、また、その切なく柔らかい物語に感動した次第です。 2. あらすじロボットが実用化されて久しく、アンドロイドが実用化されて間もない時代。アンドロイドは生活に浸透しつつあるものの、一...
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