青春映画

アイの歌声を聴かせて

「アイの歌声を聴かせて」吉浦康裕 評価:2点|AI搭載の転校生がもたらす波乱万丈の青春学園物語【アニメ映画】

2021年10月29日に公開されたアニメ映画で、監督は吉浦康裕さん。 「イブの時間」「アルモニ」「さかさまのパテマ」等の作品を手掛けた監督で、国内の映画祭では文化庁メディア芸術祭では複数回入賞しており、アニメ映画界隈では知られた存在です。 そんな吉浦さんにとって久方ぶりの長編作品となる本作ですが、その内容は「イブの時間」 と同じく、吉浦さんのライフワークともいえる「AIとの共存」と「高校生学園もの」を掛け合わせた作品。 序盤の展開こそAIという要素を活かした面白い側面も見られましたが、全体としては凡庸な青春学園物語だったという印象があり、ぎりぎり佳作とは言えない凡作だと感じました。 あらすじ 舞台は世界的な巨大企業「星間エレクトロニクス」のAI実験都市である景部市。 極めて同質性の高い企業城下町となっており、市立景部高校に通う生徒の親はたいてい星間の関連企業に勤めているというほど。 農業ではロボット田植え機が活躍し、市内を走るバスは無人運転など、AI実験都市らしい光景が日常に溶け込んでいる。 そんな景部市に住む高校生、天野悟美(あまの ...
サマーゴースト

「サマーゴースト」loundraw 評価:3点|高校生たちと幽霊によるひと夏の不思議な経験【アニメ映画】

2021年11月12日に公開された上映時間40分の短編アニメーション映画です。 監督はイラストレーターのlaundrawという方で、近年書店でよく見かけるようになった青春系ライト文芸の表紙イラストを多く手掛けている人物。 やたらに青色で窓や空から光が神々しく射しているあの画風ですね。 イメージとしては、以下のような小説の表紙が代表的だと言えるでしょう。 また、脚本はエンタメ小説家として往年の売れっ子である安達寛高(=乙一)さんが務めており、イラストレーター出身者による監督と小説家出身者による脚本という野心的な意欲作となっております。 上映館も多くない作品ですので、そこまで期待せずに観に行ったのですが、思っていたより良質な作品だったという印象。 高校生たちが経験したひと夏の不思議な体験がさらりと描かれており、気軽に鑑賞するには十分な作品です。 あらすじ インターネットを通じて知り合った3人の高校生、友也、あおい、涼。 特定の場所で夏に花火をすると現れるという幽霊「サマーゴースト」を呼び出すため、三人は空港の跡地へと向かう。 ...
いまを生きる

「いまを生きる」ピーター・ウィアー 評価:4点|型破りな教師が示す自分らしい人生のつくりかた【アメリカ映画】

1989年のアメリカ映画で、第62回アカデミー賞で脚本賞を受賞した作品でもあります。 厳格な進学校に赴任してきた型破りな教師の授業から、生徒たちが「人はどう生きるべきか」の本質を学び、実践していくという内容。 テーマの普遍性から今日でも人気の衰えない作品であり、元サッカー日本代表で現在はJ1ガンバ大阪の監督を務めている宮本恒靖さんが座右の銘に「いまを生きる」を採用するなど、まさに多くの人々の生き方に影響を与えた作品になっております。 いまとなっては古典となった本作をこの令和の時代に鑑賞してみたのですが、やはり感動はひとしおでした。 規則や形式に囚われず、物事を様々な側面から捉え、なにより自分のやりたいことを大切にしながら生きる。 そんなメッセージが激動のドラマ的展開によって鮮烈に表現された、まさに「映画」の見本となるような作品です。 あらすじ 舞台は全寮制の名門進学校ウェルトン・アカデミー。 「伝統」「名誉」「規律」「美徳」の四柱をモットーとする厳格なこの学校に、一人の英語教師が赴任してくる。 彼の名前はジョン・キーティン...
野ブタ。をプロデュース

【青春学園】テレビドラマ 「野ブタ。をプロデュース」 監督:釼持誠 星2つ

1. 野ブタ。をプロデュース 2005年に放送され、大ヒットした学園ドラマ。 亀梨和也さんと山下智久さんのダブル主演に加え、いまはもう芸能界を引退した堀北真希さんがヒロインを務めておりました。 主演の二人が歌う主題歌「青春アミーゴ」が200万枚以上を売り上げ、甲子園の入場曲になるなど、まさに社会的インパクトがあったドラマです。 その人気は現在も衰えることなく、2020年には特別編の再放送があり、話題となりました。 そんな本作ですが、さすがに大人になってから見返すと痛々しくて見ていられないような場面や演出も多く、第2話までの鑑賞が限界でした。 しかし、寒いノリだけに頼った凡百のドラマとは違い、確かに大ヒットドラマになるべきだと思わされるような深い要素も多く、語るべき側面がある作品であるとも感じられました。 2. あらすじ 主人公は高校2年生の桐谷修二(きりたに しゅうじ)。 明るい性格でクラスの人気者だが、それは彼自身が演じている虚像に過ぎない。 彼の本当の性格は、計算高い冷徹漢。 常にゲーム感覚で生きており、教...
月光の囁き

「月光の囁き」塩田明彦 評価:1点|極端な性癖を持った高校生男女が結ぶ歪んだ愛の物語【日本映画】

原作は週刊ヤングサンデーに連載されていた同名漫画ですが、私が本作の名前を知ったきっかけは、小説家の綿矢りささんが本作をかつて好きな映画に挙げていたという情報を得たことです。 1999年公開と20年以上も前の映画で、おそらく当時においても無名な映画だったでしょう。 近所のTSUTAYAには置いていなかったため、DMMの郵送レンタルサービスを使って視聴したほどです。 さて、そんな本作の感想ですが、あまりの超展開についていけなかったというのが正直なところ。 特異な性癖を持った高校生男女の一風変わった恋愛物語なのですが、全体的にかなりニッチなところを突いた映画になっていて、いわゆる映画好きの人たちには受けるのかもしれませんが、尋常の感性で楽しめる作品ではないでしょう。 あらすじ 高校生の日高拓也(ひだかたくや)と北原紗月(きたはらさつき)は剣道部に所属する同級生。 お互いに惹かれあっていたもののなかなか進展を見せない二人の仲だったが、紗月が拓也の友人からラブレターを貰ったことを契機に好意を打ち明けあい、二人は付き合うようになる。 当初は...
時をかける少女

【時をかける少女】昭和の青春をノスタルジックに描く名作SF小説の実写映画版 評価:2点【大林宣彦】

1983年公開の旧い映画ですが、近年でも話題に上ることが多い作品です。 広島県尾道市を舞台にした「尾道三部作」の一作として、大林宣彦監督の代表作に連ねられています。 同監督が2020年4月に亡くなられたため、4月18日には追悼の意味を込めた再放送が行われたりもしました。 本作が恒常的に注目を集める理由として、原作である同名小説がメディアミックスの底本として定番化しており、近年においても度々リメイクされていることの影響が大きいでしょう。 2006年のアニメ映画(監督:細田守、主演:仲里依紗)、2010年の実写映画(監督:谷口正晃、主演:仲里依紗)、2016年のテレビドラマ(主演:黒島結菜)、2015年の舞台版(演劇集団キャラメルボックス)と、2000年代においてもその勢いは留まるところを知りません。 本ブログでも、原作小説及び2006年のアニメ映画版を既にレビュー済みです。 リメイクされるたびに、「時をかける少女」映像化の元祖として注目を集めるのが今回取り上げる1983年の実写映画版であり「元祖」足りうるだけの知名度を維持しな...
夜は短し歩けよ乙女

「夜は短し歩けよ乙女」湯浅政明 評価:3点|夜の京都を舞台にした不思議で楽しい幻想恋愛エンターテイメント【アニメ映画】

森見登美彦さんの人気小説を原作に、湯浅政明監督が映画化。「夜明け告げるルーのうた」でアヌシー賞を受賞された監督です。 小気味よいファンタジー展開に加え締りの良いラストシーンは印象に残ります。エンターテイメントとしてはこういう作品がもっと世に出て欲しいですね。 あらすじ 冴えない大学生である「私」は美しき後輩、黒髪の乙女に恋をしていた。 そんな「私」が乙女との距離を埋めるために執っていた作戦、その名も「ナカメ作戦」。 「ナるべくカのじょのメにとまる」の略であり、要は付け回して偶然を装いすれ違うだけの行動である。 サークルOB・OGの結婚式の二次会に参加している今日も、二次会で乙女に近づくチャンス。 しかし、乙女の行先はいつも気まぐれ。夜の先斗町で飲み歩いたり、幼き日に読んだ絵本を探して古本市を訪ねてみたり、文化祭のゲリラ演劇で代役ヒロインを務めたり、風邪のお見舞いに京都じゅうを駆け巡ったり。 そんな乙女に(勝手に)振り回される「私」と、幻想的なほどに可愛らしい「乙女」。 そして、主人公を取り巻く愉快な大学生と大人たちが織り成す、一夜...
打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?

「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」 新房昭之 評価:1点|青春恋愛SF要素をそれっぽく詰め合わせただけの意味不明作品【アニメ映画】

1993年に岩井俊二監督が手掛けた同名テレビドラマを原作としたアニメ映画。 広瀬すず、菅田将暉、松たか子と、有名女優・俳優が声優として起用されています。 宣伝を含め、出版社やテレビ局が本腰を入れて予算を投入したのは分かるのですが、結果的に意味不明という評価を受けても仕方がない作品になってしまったと思います。 あらすじ とある海辺の町に暮らす中学一年生、島田典道(しまだ のりみち)。 夏休みの登校日、クラスメイトの男子達は「花火は横から見たら丸いのか、平べったいのか」という話題で盛り上がっていた。 そう、この日はお祭りで打ち上げ花火が上がる日でもあった。 そんな中、典道はクラスメイトの女子である及川なずな(おいかわ なずな)から「かけおち」に誘われる。 しかし、これは典道が導いた結果だった。 当初、なずなは典道の友人である安曇祐介(あずみ ゆうすけ)を誘っていたのだが、典道は手に入れた「もしも」の力で運命を変えたのである。 母親の再婚に伴う引っ越しに抵抗したいなずな。 典道となずなは逃避行のなかで何度も両親や友人に捕まっ...
夜明け告げるルーの唄

【音楽の映える青春アニメ】映画「夜明け告げるルーの唄」湯浅政明 評価3点【アニメ映画】

あらすじ 舞台は田舎の港町、日無町。 主人公のカイは音楽以外にハマるものはなく、無気力な生活を送っていた。 そんなある日、動画投稿サイトに自らが打ち込んだ音楽をアップしたことをきっかけに、カイは同級生である遊歩と国夫のバンド「セイレーン」に誘われる。 バンドの練習の帰り道、密漁を行う青年二人に襲われかけたところを、カイたちは人魚の少女ルーに助けられる。 音楽を通じた交流により打ち解け合っていくカイとルー。 町の人々にも好意的の受け入れられていくルーの存在だが、ある日、町おこしのためにルーを使うことが企画され……。 悩みを抱える少年少女と小さな人魚の、町を巻き込んだひと夏の物語。 感想 序盤からこんなにもぐいぐいと引き込まれる映画は久しぶりでした。 フラッシュアニメーションによる独特の絵柄がかえってリアル感を増していて、いわゆる「アニメ絵」とは一線を画す表現に生々しさがあります。 テンポもたいへん良いものながら展開にも無理がなく、ルーがクーラーボックスを飛び出して砂浜で踊るシーンあたりまでは傑作だと信じて疑いませんでした...
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