【現代社会】おすすめ現代社会評論3選【雑記まとめ】
教養書 「資本主義が嫌いな人のための経済学」 ジョセフ・ヒース 星3つ
1. 資本主義が嫌いな人のための経済学カナダの哲学者、ジョセフ・ヒースによる経済学の本。刺激的なタイトルですが、内容の本質を表しているのは帯のコメント。「ヤバくない経済学」。経済学の主流王道基本の考えをもとに、右派そして左派にはびこる誤謬を指摘するという著作です。資本主義が嫌いな人のための経済学posted with ヨメレバジョセフ・ヒース エヌティティ出版 2012-02-09AmazonKindle楽天ブックス
【心温まる純文学】小説 「博士の愛した数式」 小川洋子 星3つ
1. 博士の愛した数式第1回本屋大賞を受賞したミリオンセラーです。数々の文学賞を受賞されている小川洋子さんの作品の中でも、間違いなく最も知名度が高い作品でしょう。温かさ、柔らかさの中に、人間の哀しみをほんの一滴だけ混ぜたような、決して明るい設定ではないながらも読者を素直にさせてくれるような、そんな佳作に仕上がっています。2. あらすじ「あけぼの家政婦紹介組合」で働く「私」は組合の紹介を受け、ある家庭に派遣されることになる。義弟の世話をして欲しい、依頼主の老婦人はそう言って、離れに住む老人のところで働くよう「私」に要請する。その老人こそ、数学の天才である「博士」であった。「博士」のところへ派遣されるのは「私」で九人目。多くの家政婦が続かなかったのには訳がある。それは、「博士」の記憶が80分しか維持されないから。記憶は80分しか維持されず、常に数学に熱をあげている。そんな変わり者の「博士」に最初は戸惑う「私」だったが、「私」の息子である「ルート」と「博士」との交流をきっかけに、「私」は博士の優しさと数学の魅力に気づいていく。ささやかだけれど、かけがえのない幸福に満ちた日常。しかし、博士が記...
小説 「すいかの匂い」 江國香織 星3つ
1.すいかの匂い直木賞をはじめ華々しい受賞歴を誇る人気作家、江國香織さんの短編集です。少し陰惨で生々しい少女時代の記憶・感覚。それが本書に通底するテーマであり、江國さんの瑞々しい筆致からはまるでその日々の手触りや匂いまでもが伝わってくるようです。すいかの匂い (新潮文庫)posted with ヨメレバ江國 香織 新潮社 2000-06-28AmazonKindle楽天ブックス
小説 「僕と1ルピーの神様」 ヴィカス・スワラップ 星4つ
1. 僕と1ルピーの神様第81回アカデミー賞(2009年)で最多8部門を受賞した映画「スラムドッグ$ミリオネア」の原作です。著者のスワラップ氏はインドの現役外交官であり、リアルなインドの描写がスリリングな物語を引き立てています。ぼくと1ルピーの神様 (RHブックス・プラス)posted with ヨメレバヴィカス スワラップ,ヴィカース スワループ 武田ランダムハウスジャパン 2009-02-20AmazonKindle
小説 「あすなろ物語」 井上靖 星3つ
1. あすなろ物語歴史小説を中心に名作が多い井上靖さんの自伝的小説です。外国語に翻訳された小説も多く、ノーベル文学賞候補だったいう話もあるくらい実力のある作家。本作でもその力量は遺憾なく発揮され、情動と苦悩の青春が抒情的な美しさで綴られています。ややご都合主義的な場面や詩情を優先したあまりの非現実的な描写も見られますが、全体としてはかなりの良作です。あすなろ物語 (新潮文庫)posted with ヨメレバ井上 靖 新潮社 1958-12-02AmazonKindle楽天ブックス
漫画 「高校球児 ザワさん」 三島衛理子 星3つ
1. 高校球児 ザワさん強豪野球部唯一の女子部員を主人公に、野球部の「日常」に焦点を当てた異色の野球漫画です。「野球部」という特殊な文化圏で起こる、ちょっと笑えるエピソードや、女子部員がいるからこその珍事を描いた話。青春の少し後ろ暗い出来事など、現実の高校生が強く意識された作品になっています。派手ではないのですが、思わず「次のエピソードも」と手が動いてしまう漫画です。高校球児 ザワさん 1 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)posted with ヨメレバ三島 衛里子 小学館 2009-04-30AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo
小説 「野菊の墓」 伊藤佐千夫 星2つ
1. 野菊の墓正岡子規に師事し、歌人として有名な伊藤佐千夫。彼が子規の影響を受けて書いた小説が本作です。夏目漱石が高く評価したこともあり簡明で読みやすい物語なのですが、やや単調で、恋愛小説ならではの心理の動きという面では淡泊だと思われました。野菊の墓 (新潮文庫)posted with ヨメレバ伊藤 左千夫 新潮社 1955-10-27AmazonKindle楽天ブックス
教養書 「地方自治入門」 稲継裕昭 星3つ
1. 地方自治入門早大の公共経営大学院教授や放送大学教授を務められている稲継裕昭氏の著書です。自治体運営を専門にしているだけあって、自治体の構造や依拠する制度を知るにはたいへんためになる本です。必要な情報がコンパクトにまとめられ、文章も読みやすく書かれています。新事実を発見したり、新しい概念を築くために深く分析する類の本ではなく、あくまで概説書なので★5や★4はつけづらいところはあります。しかし、載っていることはそれらの本を読むために前提知識であり、この本抜きにはどんな自治体関係の本を読んでも理解が浅くなってしまうかもしれません。この分野に興味のある方になら一読を勧められる良書です。地方自治入門 (有斐閣コンパクト)posted with ヨメレバ稲継 裕昭 有斐閣 2011-08-26AmazonKindle楽天ブックス
【理想的な高校生活】漫画「天使なんかじゃない」矢沢あい 評価:2点【少女漫画】
「NANA」で大ブレイクした矢沢あいさんの出世作。若者の恋愛事情を描く作者得意のスタイルで、芸能人のファンなども多いのだとか。しかし、私としてはそこまで高く評価はできませんでした。そこそこ読めるのですが、一般的な人間が共感できる作品なのか、という点で大きく欠けるところのある作品だと思います。あらすじ舞台は創立したばかりの私立高校である聖学園。一期生として入学した冴島翠(さえじま みどり)は、二学期から結成される生徒会の役員候補として、クラス推薦で立候補することになってしまった。何とか演説を終えた翠だったが、マイクの線に足を引っかけて転倒。そこをフォローしたのが、不良風の容姿をした男子生徒、須藤晃(すどう あきら)だった。二人の運命の出会いとともに旗揚げされた生徒会。少し堅くて高飛車なお嬢さまである麻宮裕子(まみや ゆうこ)。長身で生徒会のなだめ役、瀧川秀一(たきがわ しゅういち)。お調子者のラグビー部員、河野文太(こうの ぶんた)。五人が過ごす、切なくて激情的で、そしてなによりも温かい高校生活。感想なんだか客観的に読んでしまうお話でした。作中、登場人物たちは様々な恋のかたちに巻き込まれ...
小説 「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」 七月隆文 星1つ
1.ぼくは明日、昨日のきみとデートするミリオンセラーを達成し、人気俳優・女優主演での映画も公開間近という本作。時流に乗った人気要素を持っているのは分かりますが、後年には忘れ去られているか、少なくとも評価が割れていてほしい作品です。ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)posted with ヨメレバ七月 隆文 宝島社 2014-08-06AmazonKindle楽天ブックス
小説 「高野聖」 泉鏡花 星2つ
1. 高野聖明治後期から昭和初期にかけて活躍した小説家、泉鏡花の代表作です。泉鏡花は観念小説や幻想小説の書き手として知られ、水木しげるによる漫画化作品や、金沢市主催の泉鏡花文学賞にその名を残しています。本作は今でいうところの伝奇ホラー(+ミステリ)といったところに当たる作品。ストーリー自体は平凡でしたが、時代を考えると先鞭として評価が高いのも頷けます。歌行燈・高野聖 (新潮文庫)posted with ヨメレバ泉 鏡花 新潮社 1950-08-15AmazonKindle楽天ブックス
教養書 「利己的な遺伝子」 リチャード・ドーキンス 星5つ
1. 利己的な遺伝子 タイトルからして衝撃的な、そして内容はもっと衝撃的な、ダーウィニズムの立場から書かれた生物学の一般書です。 我々が生物について持っている印象や誤解を吹き飛ばす一方、この本自体の内容も誤解されやすいもので、久しぶりにかなり慎重な読書を要した本でした。 利己的な遺伝子 <増補新装版> posted with ヨメレバ リチャード・ドーキンス 紀伊國屋書店 2006-05-01 Amazon Kindle
小説 「きみはいい子」 中脇初枝 星1つ
1. きみはいい子「世界の果てのこどもたち」で2016年本屋大賞3位を獲得した、いまを時めく中脇初枝さんの中編集です。本作も坪田譲二文学賞や本屋大賞4位など華々しい受賞歴を持っており、題材の社会性や深刻さなどは理解できるのですが、どうにも小説としての魅力には欠けるように思われました。(9-1)きみはいい子 (ポプラ文庫)posted with ヨメレバ中脇 初枝 ポプラ社 2014-04-04AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo