【海外エンタメ小説】おすすめ海外エンタメ小説ランキングベスト7【オールタイムベスト】
アニメ映画 「名探偵コナン ベイカー街の亡霊」 監督:こだま兼嗣 星2つ
1. 名探偵コナン ベイカー街の亡霊1994年に週刊少年サンデーで連載を開始して以来、その名前を知らない人はいないというくらいに国民的作品として認知されるようになった「名探偵コナン」。アニメも長らく大人気で、映画も毎年制作されております。最新作の「名探偵コナン ゼロの執行人」では興行収入が100億円を越えるなど、その人気は今日でも右肩上がりに上昇しているようです。そんな映画シリーズの中でも、特に高い評価を得ているのが本作品。歴代作品をランキングづけしているサイトも多くありますが、上位3つには必ず入っていると言っても過言でないくらい定番の作品となっています。とはいえ、単独の映像作品として作られた数々の作品と同じ俎上に並べてしまえば星2つが限界です。悪くはなかったのですが、小さな子供から大人までが肩の力を抜いて見られる娯楽として作らなければならないという側面と、何か映画として高尚なメッセージを残さなければならないという意識の板挟みの中で中途半端になってしまっている印象が強く、普遍的で古典になり得るような作品にはなっていませんでした。劇場版 名探偵コナン ベイカー街(ストリート)の亡霊【Bl...
【百日紅】葛飾北斎とその娘が主人公。江戸時代を舞台にした連作短編漫画 評価:1点【杉浦日向子】
1. 百日紅漫画家であり江戸風俗研究家でもあった杉浦日向子さんの作品。杉浦さんのオリジナル作品として「百物語」と並ぶ代表作だとされています。2015年には映画化されており、アヌシー国際アニメーション映画祭や第19回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門などで賞を獲得しております。葛飾北斎とその娘であるお栄を中心に江戸の風俗を描く、という他にはない珍しいジャンルというところは目新しいのですが、物語は凡庸で、主人公格の二人が著名な絵師であるということもあまり活かされてはいません。時代考証の精緻さという面で評価する人は評価するのでしょうが、決して娯楽的面白さを求めて手を出す作品ではないでしょう。2. あらすじ有名な絵師としての地位を確立しながらも、葛飾北斎は長屋で質素に暮らしている。同居人は三女のお栄と居候の善次郎。二人とも北斎の弟子であり、お栄は北斎の代筆をするほどの腕前。善次郎も江戸の町で徐々に頭角を現してきていた。しかし、お栄は地黒で、父の北斎にさえ「アゴ」と呼ばれるくらいに容姿が芳しくなく、生娘であることから春画にはいまいち難がある。善次郎も女好きで茶屋通いがやめられないという欠点を...
アニメ映画 「茄子 アンダルシアの夏」 監督:高坂希太郎 星3つ
1. 茄子 アンダルシアの夏自転車競技を題材にした珍しいアニメ映画で、スタジオジブリ作品のスタッフに原画や作画関連で名を連ねることが多い高坂希太郎さんが監督。近年では人気の児童小説「若おかみは小学生」の映画版でメガホンを取っています。また、以前に本ブログで紹介した「王立宇宙軍 オネアミスの翼」でも原画を務めるなど、アニメ映画界の中心的人物の一人だと言えるでしょう。本人も大の自転車好きということが本作をつくるきっかけとなったようです。映画といっても45分という短時間の作品なのですが、人間の情熱を描いた王道の作品で、テンポも小気味よく飽きさせません。深みという点においては居並ぶ名作たちと比較すると一歩劣りますが、佳作という評価がぴったりの映画だと思います。茄子 アンダルシアの夏posted with カエレバ大泉洋 (C)2003「茄子アンダルシアの夏」製作委員会Amazon楽天市場
新書 「現代経済学」 瀧澤弘和 星4つ
1. 現代経済学古くは傾斜生産方式や所得倍増計画、最近ではアベノミクスなど、どの政権でも経済政策は中心的な分野として扱われ、人々の生活に大きな影響を与えてきました。海外でも、例えば最近の米国における大幅減税と財政出動はトランプ大統領の目玉政策の一つです。そんな経済政策に理論的枠組みを与えてきたのが経済学という分野。共産主義退潮の後は(新)ケインズ主義と新古典派が主要な流派として語られることが多かったのですが、近年になって経済学の捉え方、経済に対する焦点の当て方が多様化しており、経済学の枠組み自体が決定的に変化しつつあります。本書の副題である「ゲーム理論・行動経済学・制度論」がまさにその変革を代表するキーワードと言えるでしょう。本書の序章でも触れられている通り、最近のノーベル経済学賞はこれらの分野の第一人者が次々と受賞しています。そして、入門レベルの経済学の知識を前提に、そういった「現代」の経済学をこれまでの経済学と対比させながら、古今の繋がりとブレイクスルーを過不足ない記述で分かりやすく伝えてくれているのが本書。新しい経済学の流れを概観するのにうってつけの新書です。2. 目次本書の目次...
アニメ映画 「王立宇宙軍 オネアミスの翼」 監督:山賀博之 星3つ
1. 王立宇宙軍 オネアミスの翼「ふしぎの海のナディア」や「新世紀エヴァンゲリオン」で知られるアニメ制作会社、ガイナックスが最初に制作した作品。というより、ガイナックス自体が本作の制作を目的に立ち上げられたのですが、本作により莫大な借金を背負ってしまったことからその返済のために経営を続けることになったというのが事の顛末。上述した2作品も禍を転じて福と為す形で生まれたと思うと感慨深いですね。キャラクターデザイン:貞本義行、作画監督:庵野秀明、美術監督:小倉宏昌、音楽監督:坂本龍一と後のレジェンド達が一つの作品に結集しているということも1987年という年代の為せた業でしょう。評価としては「『良い』未満にはなり得ない作品だが、」というあたり。生き方に惑う青年が馬鹿にされながらも宇宙を目指すという王道のストーリーながら、下手に主人公に媚びるようなヒロインや取り巻きを出していないのがいいですね。日常を普通に過ごしていると近視眼的な享楽を求めがちなところ、ただ漫然と生きていてよいのかということに主人公が気づき、たとえ無為なことに思えても人生というものに情熱を燃やし始める。そこは上手く描かれていると...
教養書 「ウォール街のランダム・ウォーカー」 バートン・マルキール 星2つ
1. ウォール街のランダム・ウォーカー1973年の書版発行以来、投資界隈で読み続けられている本であり、2016年発売の日本語最新版が第11版の訳書になります。ネット証券が台頭し、NISAやiDECOといった個人向けの投資制度も充実してきた昨今、投資についての基礎を身に着けておいて損はないでしょう。年金がGPIFによって運用されるようになったことで、年金の現状について一家言持つにはGPIFのポートフォリオを語れる必要が出てきたため、政治学に興味がある立場としても面白いのではないかと手に取りました。評価としては微妙だった、というところですね。全般的に誤ったことが書いてあるとは思わないのですが、世界史や経済・金融の知識が全くない人向け(大学で学んでいない人)の説明が全般的に目立つ一方で、前半のほとんどを世界史上に起こったバブル事例の説明に消費してしまうなど、レベルの統一感がない構成になっており、どういった層を満足させられるのだろうという疑問を感じてしまいました。ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉 ―株式投資の不滅の真理posted with ヨメレババートン・マルキール 日本経...
漫画 「1518! イチゴーイチハチ!」 第6巻 相田裕 星2つ
1. 1518! イチゴーイチハチ! 第6巻本ブログで唯一、新刊発売のたびに感想を書いている漫画である「1518!」。夏休み編だった5巻から季節は移り変わり、秋の話が描かれます。5巻の感想はこちらから。1巻から星の数は☆4→☆5→☆5→☆3→☆3と推移させてきましたが、この6巻はさすがに星2つをつけざるを得ないという印象。これまでの筋書きや登場人物への愛着があったのでなんとか読めましたが、これが第1巻であれば次の巻は買わなかったでしょう。現実的なキャラクター造形と心理描写、そして人間ドラマの深堀りという魅力が薄くなり、少年誌で週刊連載されていそうなごく普通のラブコメになってしまっている印象があります。1518! イチゴーイチハチ! (6) (ビッグコミックス)posted with ヨメレバ相田 裕 小学館 2018-09-28AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo2. あらすじ幸と烏谷の関係が進展した夏休みも終わり、学校も再開。生徒たちは文化祭に向けて汗を流していた。そんな中で様子がおかしい人物が一人。ナカナツこと仲里なつみである。吹奏楽部に所属する彼女はコンクール出場チー...
アニメ映画 「コクリコ坂から」 監督:宮崎吾朗 星5つ
1. コクリコ坂から宮崎駿さんの息子である宮崎吾郎さんが監督を手掛けたスタジオジブリの作品。とはいえ、企画・脚本は宮崎駿ですから、ほとんど共作といってよいでしょう。1980年に発売された同名少女漫画が原作。とはいえ、映画の内容はかなりオリジナル成分の強いものです。ファンタジー要素のない普通の学園ものをジブリが制作するのはなかなか珍しいことですが、名作に仕上がっています。スケールは大きくないながら非の打ちどころのない作品で、 話の盛り上げ方や見せ方など、他の作品に範として欲しい要素が多く含まれています。コクリコ坂から posted with カエレバ宮崎吾朗 ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社 2012-06-20Amazon楽天市場
「アルジャーノンに花束を」ダニエル・キイス 評価:3点|特別な手術を受けた知的障害者が直面する知性の幸福と傲慢の悲哀【古典SF小説】
アメリカのSF作家、ダニエル・キイスの作品で、1959年に中編として、そして1966年には長編に書き直されて発表されています。ネビュラ賞とヒューゴー賞という権威ある賞を受賞しており、日本でも2015年に新版が出るなど、定評ある古典として読まれ続けています。感想としては、「手堅い名作」という印象。斬新な設定で唯一無二の地位を確立しており、特殊な題材ながら人を選ばない筆致には素晴らしいものがあります。一方で、これほど突飛な設定ながらあと一押しとなるようなどんでん返しなどがないところはやや肩透かしでありました。あらすじチャーリィ・ゴードンは知的障がい者で、ビークマン大学知的障がい者成人センターに通いながらパン屋で下働きをしている。読み書きも碌にできない彼だったが、ある日、ビークマン大学の二―マー教授とストラウス博士からある実験への協力を求められる。それは、チャーリィの知能を劇的に高める手術のドナーになって欲しいというものだった。賢くなりたい、賢くなればもっとみんなの期待に応え、仲良くなれるはずだと考えていたチャーリィ。もちろん、彼はこの依頼を快諾する。手術を受けた彼はゆっくりとしか進まない知...
漫画 「月曜日の友達」 阿部共実 星1つ
1. 月曜日の友達独特の絵柄と毒のあるストーリーで人気を集める漫画家、阿部共実さんの作品。「このマンガがすごい!2018オトコ編4位」という位置づけからも、ディープな漫画好きに好まれる作風が特徴といえるかもしれません。中身を一言で表せば、「凝り過ぎて妙な方向に行ってしまった作品」。設定やストーリー、そして漫画としての表現手法まで、斜に構えた中高生が凝った作品をつくろうと思ったらこうなった、とでもいえるもので、通ぶった人々がこれを良作としてしまうことが危惧される作品でした。月曜日の友達 1 (ビッグコミックス)posted with ヨメレバ阿部 共実 小学館 2017-08-30AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo
「赤い雪 勝又進作品集」 勝又進 評価1点|旧い東北の風俗を劇画風に描いただけの作品【青年漫画】
個性的な漫画家が集ったことで一部界隈では有名な週刊漫画誌「ガロ」。その執筆陣の一人であった、勝又進さんの作品集。第35回(2006年度)日本漫画家協会賞大賞を受賞した「赤い雪」が表題作です。絵柄はいわゆる「劇画」で、かつて存在した東北地方の旧い風俗がテーマとなっております。「遠野物語」に近いコンセプトと言えるかもしれません。もちろん、そういった旧い文化の描き方は素晴らしいのでしょうが、そういった旧い文化における人々の暮らしを描いた以上の価値があったかといえば、そうではないという結論です。テンプレートのような「起承転結」や「劇的なクライマックス」を支持しているわけではありませんが、やはり人々の心を動かすための意図を持った物語構成がなければフィクション作品として良い評価を与えることは難しいでしょう。あらすじ・「桑いちご」ドジョウ売りの男の子はある日、桑の木に登って桑いちごを盗み食いしている女の子を見つける。女の子は名前をトミ子といい、千寿館という宿の女中なのだが、妾の子であるため差別されていた。お互いに悪態をつき、喧嘩しながらも心のどこかでつながりを感じている二人。しかし、ある事をきっかけ...
「虹色ほたる 〜永遠の夏休み〜」宇田鋼之介 評価:2点|AI搭載の転校生がもたらす波乱万丈の青春学園物語【アニメ映画】
川口雅幸さんの同名小説を映画化した作品。子供向けアニメシリーズの映画化以外ではアニメ映画がまだ珍しかった2012年の公開作品です。挑戦的な作画とテーマで挑んでいるからか、興行的には振るいませんでした。個人的にはそういった挑戦的な部分はかなり気に入ったのですが、いかんせん物語の進行や小道具の使い方が拙く感じました。特にラストシーンは全てをぶち壊すような酷い出来で、これさえなんとかすればもう少し良い評判を得られたのではと思います。あらすじ小学6年生のユウタはバスに乗り、山奥まで昆虫採集に出かける。そこで出会ったのは一人の老人。喉の渇きを訴える老人にスポーツドリンクを渡すと、彼は礼を言って去っていった。そして帰り道、突然の豪雨に襲われたユウタは途中で足を滑らせて崖から転落してしまう。転落のさなか、老人の声を聞いたユウタ。目覚めると、ユウタは無傷で高原に寝そべっていた。そこで出会ったのはさえ子という少女で、高原からは存在するはずのない村が見下ろせるのだった。後にユウタが気づくのは、その村が、現代ではダムに沈んでしまった、かつて存在した村だということ。ユウタはタイムスリップし、その村のそばに降り...
漫画 「夜とコンクリート」 町田洋 星2つ
1. 夜とコンクリート町田洋さんの中短編集。「夏休みの町」で第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞を受賞した新進気鋭の漫画家です。流行かつ王道の漫画表現とは一線を画し、細い線とモノトーンで描かれる独特の絵柄と不思議な雰囲気の物語が特徴です。とはいえ、感想としては「こういうマイナー漫画よくあるなぁ」という印象。幼少期への憧憬を描いた「青いサイダー」も、大学生の青春とSFを混ぜた「夏休みの町」も、日常に少し変わったファンタジー/SF要素を入れて、あとは多くを語らないという手法。いかにもサブカルチャー感がありますが、それ以上ではありません。悪くはありませんが、好きな人は好きの域を出ない作品でしょう。夜とコンクリートposted with ヨメレバ町田 洋 祥伝社 2014-02-03AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo