【メディア論】おすすめメディア論雑記3選【雑記まとめ】
小説作家名「か」行
小説 「日の名残り」 カズオ・イシグロ 星5つ
1. 日の名残り一人称で書かれた小説の決定版とも言えるでしょう。戦後すぐのイギリス。旅すがら、ある英国人執事が自らの人生を回顧していきます。彼の「意識」の中のイギリス、「理想」の中の記憶に読者は引き込まれ、やがて作者の技巧に気づいたときには大きな驚嘆を得ることができます。ブッカー賞の名に恥じない作品です。日の名残り (ハヤカワepi文庫)posted with ヨメレバカズオ イシグロ 早川書房 2001-05-01AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo
「檸檬」梶井基次郎 評価:2点|詩情溢れる耽美で大胆な短編集【純文学】
詩情豊かな作風で日本文学史に名を残す梶井基次郎の短編集です。梶井の代表作であり、表題作ともなっている「檸檬」。人気のライトミステリシリーズのパロディ元にもなるなど引用されることが多い「桜の樹の下には」。教科書にも採用され、目にしたことのある人も多いであろう「Kの昇天」。独特な感覚による日常の観察と、清新さと陰翳を併せ持つ文体に酔わされます。あらすじ「檸檬」肺病に苦しみ、借金取りに追われる男は、日常の何もかもを楽しめないでいた。そんな時、男は果物屋でレモンに魅入られる。そのレモンを買い、丸善に向かった男がとった行動とは......。「Kの昇天」ある日、「私」はK君が溺死したとの手紙を受け取り、かつてK君と過ごした 1ヶ月ほどの期間を思い出す。K君は砂浜で、下を見ながら行ったり来たりを繰り返していた。月の夜に自分の影を見ていると、だんだんと影が人格を持ち始め、本当の自分は月へ昇っていくような感覚になるという。そう、K君はついに月に昇りきったのだ。「私」はそう直感する。「桜の樹の下には」桜の樹の下には屍体が埋まっている。桜が醸し出す幻覚のような神秘的雰囲気を不思議に思っていた主人公はその原因...
「陽だまりの彼女」越谷オサム 評価:1点|ご都合主義的な展開と不自然なヒロインが織り成す駄作【恋愛小説】
「女子が男子に読んでほしい恋愛小説No.1」そんなキャッチコピーのもと、一時期は書店でかなりプッシュされていた作品。売り上げはミリオンセラーにまで至り、映画も大人気とのことですが、物語の構造的にちょっとこれを楽しむのは無理があるだろうという点が多くある作品で個人的には駄作だと感じました。あらすじ主人公、奥田浩介は交通広告代理店の若手営業マン。ある日、営業先のランジェリーメーカーを訪れたとき、ある女性と再会する。その女性の名前は渡会真緒。浩介と彼女はかつて中学校の同級生であった。非常に頼りなかったかつての彼女とは打って変わって、いまやデキるキャリアウーマン街道まっしぐらの真緒に、浩介は驚きを隠せない。そんな真緒も、浩介との再開を喜んでいた。かつて中学校でいじめられていたところを浩介に救われた彼女は、浩介と過ごした日々を大切に想っていたのである。社会人として出会った二人だったが、その仲が縮まるのに時間はかからなかった。無事、幸せな結婚生活が始まったのだが、しばらくすると、彼女に体調不良が頻発するようになり、身体も痩せ細っていってしまう。病院に行っても「異常なし」と診断されるが、浩介は真緒の...
小説 「いなくなれ、群青」 河野裕 星1つ
1. いなくなれ、群青新潮社の新レーベル「新潮文庫nex」の看板作品で、「階段島シリーズ」の第一巻という位置づけの本作。また、いわゆる「ライト文芸」的なレーベルだけあって、ライトノベル出身の著者が書いています。評判も芳しく、売り上げ好調のようですが、私には受け入れかねる内容でした。いなくなれ、群青 (新潮文庫nex)posted with ヨメレバ河野 裕 新潮社 2014-08-28AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo
小説 「恩讐の彼方に」 菊池寛 星3つ
1. 恩讐の彼方に古典の中では大御所たちと比較してあまり読まれていない感じもある菊池寛ですが、小気味よい文章にハラハラさせる構成と、なかなか面白い作品でした。藤十郎の恋・恩讐の彼方に (新潮文庫)posted with ヨメレバ菊池 寛 新潮社 1970-03-27AmazonKindle楽天ブックス