【経済学】おすすめ経済学本ランキングベスト4【オールタイムベスト】
小説作家名「あ」行
「嵐が丘」エミリー・ブロンテ 評価:2点|世界の十大小説にも選ばれている英国ロマン主義文学の愛憎劇【海外純文学】
英国の著名な作家、ブロンテ三姉妹の二番目、エミリー・ブロンテの小説です。サマセット・モームの「世界の十大小説」にも選ばれる歴史的名作だそうです。とはいえ、大いに楽しめたかと言われればそうではありません。二つの家系の愛憎劇は序盤こそスリリングに思えるものの、ただ愛憎劇が繰り返されるだけの単調さは飽きが来るのも早いです。あらすじ都会から旅に出た青年ロックウッドは、「スラッシュクロス」という田舎の屋敷に泊まることにする。近隣にもう一つある屋敷、「嵐が丘」を訪れたロックウッドだったが、そこでの歓迎は非常に手荒いものであり、ロックウッドは困惑する。「スラッシュクロス」に帰ったロックウッドは「嵐が丘」の住人がそうなってしまった理由を屋敷の女中であるエレンから聞かされる。「嵐が丘」に拾われた子供であるヒースクリフと、「スラッシュクロス」のお嬢様であるキャサリンとの歪んだ恋。それは愛し合い、そして憎しみ合った二つの家の、長きにわたる陰惨な物語......。感想非常に高尚で格式高く書かれた昼メロです。富豪の家に拾われたヒースクリフが家庭をズタズタに引き裂き、そして自身をも破滅に導いていくという筋書きは確...
小説 「桐島、部活やめるってよ」 星2つ 朝井リョウ
1. 桐島、部活やめるってよ 新進気鋭の若手小説家、朝井リョウさんのデビュー作です。 今時の若者の心理を生々しくかつ繊細に描いた作品として話題になり、 また、その印象的なタイトルは多くのパロディを生み出しました。実写映画もされ、日本アカデミー賞の最優秀作品賞に選ばれるなど好評を博しています。 前評判通り、スクールカーストの描き方と「桐島が出てこない」という構造の巧さには心打たれましたが、ややストーリー性に欠け、同時代性を意識するあまり普遍性を犠牲にし過ぎた側面があると思われました。 桐島、部活やめるってよ (集英社文庫) posted with ヨメレバ 朝井 リョウ 集英社 2012-04-20 Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天kobo
「O・ヘンリ短編集」O・ヘンリ 評価:3点|短編の名手が贈る風格と哀愁の作品集【海外文学】
第一巻19世紀に活躍した短編の名手、O・ヘンリの作品集。アメリカの都会に生きる人々の哀愁と情緒あふれる生活がシニカルさと人情味をもって描かれている、そんな作品たちでした。あらすじ「緑の扉」ルドルフ・スナイダーは街を歩いているとき、チラシ配りの男から「緑の扉」と書かれたチラシを受け取った。不審に思いもう一度チラシ配りの前を通ってみるが、やはり他の人とは違い、自分にだけそのチラシは配られる。周囲を見渡し、緑の扉のアパートを発見したスナイダー。彼がドアを開けると、そこには女性が倒れていて.....。「ハーグレイブズの一人二役」ワシントンのある家に間借りしているのは、南部出身の堅物、トールボット少佐。そのあまりに古風なふるまいを周囲は嗤うのだが、ただ一人、 ハーグレイブズ青年だけは彼の昔話を熱心に聞いていた。感心するトールボット少佐だったが、ある日、トールボット少佐が劇を見に行くと、そこにはおもしろおかしく少佐の真似をする役者ハーグレイブズがいて......。以上2編を含む16編を収録。感想どの話もウィットが効いていて非常に面白いです。人間のちょっと間の抜けたところや勘違い、思わぬ行き違いなど...
小説 「六番目の小夜子」 恩田陸 星3つ
1. 六番目の小夜子第3回日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作となり、恩田陸さんのデビュー作となった本作。学園小説の名手である恩田陸さんの原点というべき作品です。「明るくハッピーな話」「後味の悪い背徳的な話」「悲しく切ない話」。近年の小説はそういった小説そのものの「キャラ付け」が求められています。しかし、そのどれにも属さず、しかし、心に訴えかけるものがある。小説の「テンプレ化」が進む時代の直前に書かれた名作です。六番目の小夜子 (新潮文庫)posted with ヨメレバ恩田 陸 新潮社 2001-01-30AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo
小説 「ネバーランド」 恩田陸 星2つ
1. ネバーランド「夜のピクニック」で第2回本屋大賞を受賞し、それ以外にも数々の名作がある恩田陸さんの作品。「夜のピクニック」同様、高校生の濃密な青春を描いた本作ですが、独特の暗さと明るさが共存した作風を楽しむことはできました。ただ、やや現実感を無視した、かつテンプレートな設定が食傷気味ではあります。ネバーランド (集英社文庫)posted with ヨメレバ恩田 陸 集英社 2003-05-20AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo
小説 「光の帝国 常野物語」 恩田陸 星2つ
1. 光の帝国 常野物語多くの人気作を世に送り出してきた恩田陸さん。彼女の初期の作品で、伝承のような雰囲気を持つ落ち着いたファンタジーです。ややホラー気味の不思議な話を独特の語りで書くという恩田さんの十八番。それを体現した作品ではあり、一つ一つの発想は面白いと思うのですが、やや散漫な印象も受けた作品であります。光の帝国―常野物語 (集英社文庫)posted with ヨメレバ恩田 陸 集英社 2000-09-01AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo
小説 「夏と花火と私の死体」 乙一 星3つ
1. 夏と花火と私の死体山白朝子、中田永一名義でも有名な乙一さんのデビュー作。16歳でこのストーリーを書ききるのはまさに衝撃だといえるでしょう。稚拙なところも多いように感じられましたが、才気溢れる作品です。夏と花火と私の死体 (集英社文庫)posted with ヨメレバ乙一 集英社 2000-05-01AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo
【暗いところで待ち合わせ】視覚障がい者の住む家に身を潜めた殺人容疑者の運命やいかに 評価:4点【乙一】
人気作家、乙一さんの文庫書き下ろし作品です。類を見ない斬新な設定と普遍的で温かな感情を共存させたこの作品。私としては乙一さんの最高傑作だと思っています。あらすじ視力を失い、保険金で日々を静かに暮らすミチル。そんなミチルは、最近、自宅で奇妙な感覚に襲われていた。擦れるような小さな音が頻繁に聞こえ、誰もいないはずの空間から空気の揺らぎを感じる。一方、とある殺人事件の犯人として追われていたアキヒロは、ミチルの家に逃げ込み、部屋の一角を居場所としていた。偶然が起こした不思議な同居。それぞれが異なる理由で怯える両者だったが、やがてその関係にも変化が訪れる。死んだように暮らしているミチルと、孤独に生きてきたアキヒロ。二人の運命やいかに......。 感想素晴らしい作品、傑作です。人との関りが苦手、という二人が出会う物語なのですが、まず、その「孤独」描写が秀逸。ただ単に「暗いと呼ばれていた」「人を避けがちだった」と描写するだけでなく、馬鹿にされたときの心理や、悔しくやり切れず、怒りを感じながらも何もできない感情。他人に「怯える」とはどういう状態かということが緻密に描かれており、物語に切迫感と現実感を...
【心温まる純文学】小説 「博士の愛した数式」 小川洋子 星3つ
1. 博士の愛した数式第1回本屋大賞を受賞したミリオンセラーです。数々の文学賞を受賞されている小川洋子さんの作品の中でも、間違いなく最も知名度が高い作品でしょう。温かさ、柔らかさの中に、人間の哀しみをほんの一滴だけ混ぜたような、決して明るい設定ではないながらも読者を素直にさせてくれるような、そんな佳作に仕上がっています。2. あらすじ「あけぼの家政婦紹介組合」で働く「私」は組合の紹介を受け、ある家庭に派遣されることになる。義弟の世話をして欲しい、依頼主の老婦人はそう言って、離れに住む老人のところで働くよう「私」に要請する。その老人こそ、数学の天才である「博士」であった。「博士」のところへ派遣されるのは「私」で九人目。多くの家政婦が続かなかったのには訳がある。それは、「博士」の記憶が80分しか維持されないから。記憶は80分しか維持されず、常に数学に熱をあげている。そんな変わり者の「博士」に最初は戸惑う「私」だったが、「私」の息子である「ルート」と「博士」との交流をきっかけに、「私」は博士の優しさと数学の魅力に気づいていく。ささやかだけれど、かけがえのない幸福に満ちた日常。しかし、博士が記...
小説 「すいかの匂い」 江國香織 星3つ
1.すいかの匂い直木賞をはじめ華々しい受賞歴を誇る人気作家、江國香織さんの短編集です。少し陰惨で生々しい少女時代の記憶・感覚。それが本書に通底するテーマであり、江國さんの瑞々しい筆致からはまるでその日々の手触りや匂いまでもが伝わってくるようです。すいかの匂い (新潮文庫)posted with ヨメレバ江國 香織 新潮社 2000-06-28AmazonKindle楽天ブックス
小説 「僕と1ルピーの神様」 ヴィカス・スワラップ 星4つ
1. 僕と1ルピーの神様第81回アカデミー賞(2009年)で最多8部門を受賞した映画「スラムドッグ$ミリオネア」の原作です。著者のスワラップ氏はインドの現役外交官であり、リアルなインドの描写がスリリングな物語を引き立てています。ぼくと1ルピーの神様 (RHブックス・プラス)posted with ヨメレバヴィカス スワラップ,ヴィカース スワループ 武田ランダムハウスジャパン 2009-02-20AmazonKindle
小説 「あすなろ物語」 井上靖 星3つ
1. あすなろ物語歴史小説を中心に名作が多い井上靖さんの自伝的小説です。外国語に翻訳された小説も多く、ノーベル文学賞候補だったいう話もあるくらい実力のある作家。本作でもその力量は遺憾なく発揮され、情動と苦悩の青春が抒情的な美しさで綴られています。ややご都合主義的な場面や詩情を優先したあまりの非現実的な描写も見られますが、全体としてはかなりの良作です。あすなろ物語 (新潮文庫)posted with ヨメレバ井上 靖 新潮社 1958-12-02AmazonKindle楽天ブックス
小説 「野菊の墓」 伊藤佐千夫 星2つ
1. 野菊の墓正岡子規に師事し、歌人として有名な伊藤佐千夫。彼が子規の影響を受けて書いた小説が本作です。夏目漱石が高く評価したこともあり簡明で読みやすい物語なのですが、やや単調で、恋愛小説ならではの心理の動きという面では淡泊だと思われました。野菊の墓 (新潮文庫)posted with ヨメレバ伊藤 左千夫 新潮社 1955-10-27AmazonKindle楽天ブックス