【現代社会】おすすめ現代社会評論3選【雑記まとめ】
雑記
人生で初めて落語鑑賞に行き、芸術家として生きる人生に憧れを感じた話
「天満天神繁盛亭」という落語の定席に、人生で初めて落語鑑賞に行きました。大阪にある唯一の落語定席(定例公演を行う施設)らしく、2006年に本施設が開園するまで60年以上ものあいだ大阪には落語の定席がなかったそうです。毎日、朝・昼・夜に分かれて落語の公演があり、私が鑑賞したのはある日の昼席でした。「平林」「尻餅」「河豚鍋」という三つの古典落語に加え、歌謡ショーと紙芝居、最後に現代を舞台にした新作落語が披露されました。私にあまり落語の素養がないからか、十分に楽しめたかと問われれば微妙なところです。(前説的な役割の方が「笑ってあげてください」のようなお願いを最初にするのは逆にしらけるからやめた方がよいのではないかと思いましたが、それだけ「落語」というものがもう誰にも笑えない演目になってしまっているのかもしれません)そんな「笑い」のない落語鑑賞でしたが、「天満天神繁盛亭」を去る私の胸には大きな感傷が残っておりました。落語鑑賞を行ったのは日曜日だったので、翌日は「仕事」に行かなければなりません、それなりにプレッシャーのある、それでいて自分が心から熱望しているわけでもない、それどころか、どちらかと...
あまりにもつまらない日本社会にまつわるデータと所感
「今日の仕事は楽しみですか」というキャッチコピーを掲げた広告がSNSで大炎上したのは最近のことです。広告会社が批難され、広告が撤回されるという結末を迎えたわけですが、日本社会が抱える諸問題の結実として、目の前の一日が多くの人にとってあまりにもつまらないという現実があるのではないでしょうか。ギャラップというアメリカの調査会社によると、熱意溢れる社員の割合において、日本は139か国中132位とあまりにも低い数字が叩き出されているようです。引用元:原因はいろいろあるのでしょうが、やはり、大企業では無意味なくせに複雑で難易度の高いペーパーワークや調整作業が蔓延っており、一方、中小零細企業や介護・外食・アパレルといった職種においてはブラック労働が蔓延っていることが原因なのでしょう。大企業や公務員は年功序列賃金制が要因で、中小零細企業等や非正規・派遣労働は利益の薄さやその構造的な要因によって給料が上がりづらいことも、この「熱意」に関係しているのかもしれません。また、多くの大企業が採用しているジョブローテーションと全国転勤も人生に対する自己決定権を奪うという意味で熱意の低下に紐づいている可能性があり...
「鬼滅の刃」で活躍する「優しさ」を持たない剣士たちの話
現代ビジネスに精神科医である斎藤環氏による面白い「鬼滅の刃」評論が掲載されていた。 この中で、斎藤氏は鬼殺隊の「柱」たちがみな鬼による加害または親による虐待を受けた被害者であり、それゆえに戦いの動機に怨恨を孕み、そのうえ、彼らの性格が狂気に満ちていることを指摘している。ここで重要なことは、鬼殺隊の「柱」もまた、ほとんど全員が――甘露寺蜜璃を除き――鬼による犯罪被害者であるということだ(煉獄杏寿郎と宇髄天元は鬼の被害は受けていないが親からの虐待サバイバーである)。その意味で「鬼滅」とは、「正義の被害者(柱)」が「闇落ちした被害者(鬼)」と戦う物語、でもある。そして留意すべきは、「正義」はしばしばトラウマ的な出自を持つ、ということだ。鬼殺隊の人々が正義の刃を振るうのは、もちろん社会の治安と安全のためではあるのだが、その動機はしばしば怨恨であり、その向かう矛先は鬼であり鬼舞辻無惨だ。その正義は鬼退治の正義であって、その限りにおいて普遍性はない。「正義」はしばしばトラウマ的な出自を持つがゆえに、しばしば暴走し、狂気をはらむ。「柱」の剣士たちは、そうした覚悟を固めすぎた結果、みんなサイコパスに...
【政治雑記】日本は残存する大選挙区制(中選挙区制)を全て廃止するべきである
1. 候補者調整の問題2021年7月5日に行われた東京都議会議員選挙は、定数127議席のうち、自民党33議席、都民ファーストの会31議席、公明党23議席、共産党19議席、立憲民主党15議席、その他6議席という結果に終わった。自民党と公明党の議席を合わせた56議席では過半数に届かず、議席の大幅減が予測されていた都民ファーストの会が45議席から14議席減の31議席と踏みとどまって第2党を確保し、立憲民主党が8議席から15議席、共産党が18議席から19議席と議席を増やしたため、自公連立政権の敗北、都民ファーストの健闘、国政野党連合の躍進だというのがマスメディアにおける報道の主たる論調のようである。(自民党は議席増、公明党は議席維持だったため、それほど手痛く敗北した印象は受けないが、本稿の主題ではないのでここでは議論しない)東京都議会議員選挙をはじめ、特に日本の地方議会選挙においてアカデミアの政治学(政治過程論)的に注目が大きいのは、タイトルにも挙げた通りその選挙制度であろう。殆どの選挙区が当選人数二人以上の大選挙区制(※)となっており、しかも、投票者は自分がもつ1票を一人の候補者に対してしか...
【社会評論】国民同士の利害が激しく対立する、テレビ局にとって非常にやりづらい時代が到来している【メディア論】
テレビを点けると連日のように「コロナ!コロナ!」の報道をしていて、コロナ自体は重要な事柄だから仕方がない、と思いながらもついげんなりしてしまいます。NHK-BSで海外のニュース番組を観ていてもそんな感じなので、日本に限らず、いまは世界中の報道がコロナに染まっているのでしょう。やや偏見も入った見方かもしれませんが、テレビ関係者は社交的で外交的な人々が多いので、私生活でもコロナの影響を露骨に受けており、その弊害を大きく感じているのかもしれません。さて、そんなテレビのコロナに対する報道姿勢ですが、SNS等を見ているとダブルスタンダードだという批判が散見されます。つまり、緊急事態宣言や学校を休校にする等の規制を行えば「飲食店が可哀想」「子供たちが可哀想」と批判し、逆にそういった措置を行わなければ「コロナの蔓延が拡大する中で政府の無策が目に付く」と批判するというものです。スタンスが一貫しておらず、何をやってもやらなくてもデメリットにばかりに焦点を当てて悪口を言うような報道は全く生産的でないし、こんな報道をしたって日本全体のためにならない、というわけです。言いたいことは分かるのですが、いまさらそん...
御伽原江良の引退に捧ぐ
2021年3月をもってVtuber事務所「にじさんじ」からの卒業を発表したバーチャルユーチューバー「御伽原江良」。YouTubeチャンネルの登録者数は50万人を突破し、一時は「にじさんじ」内でも2位につけるなど、看板ライバーの一人でした。2020年4月にはNBCユニバーサル・エンターテイメントからメジャーデビューを果たし、まさに成功者への道を歩んでいた途上における突然の引退。Vtuberファン界隈が騒然としたのも不思議ではありません。「あーゴミカスゥ、〇ね」のような小気味の良い暴言。「我にじさんじぞ」のような独特の罵り文句。3Dお披露目配信における「ギバラギバラ高収入」という掛け声。同じく3Dお披露目配信における昆虫食のような捨て身の企画とそれに対するリアクション。ゲーム実況の技量や歌唱力というより、その純粋なエンターテイメント性で人気を博していた点が私好みなVtuberだったこともあり、個人的にも喪失感はひとしおです。4月にはチャンネル及び全アーカイブの削除が行われ、インターネットの伝説となった御伽原江良。しかし、この引退事件に私が驚嘆した理由は、単に私が「御伽原江良」というキャラク...
【社会評論】消費社会から創造社会になり「何者か」になるのがますます難しくなった現代社会の悪辣さについて
1981年のベストセラーといえば田中康夫の「なんとなく、クリスタル」でしょう。そこで描かれたのは、ブランド品を身に着け、お洒落な飲食店で食事をするなどの消費行動を通じて自己顕示欲を発散する若者たちの姿。その様子を赤裸々に描き出したことで文藝賞を受賞し、ミリオンセラー作品となりました。堕落した消費ばかりに感けて保守的な倫理観を失い、創造性・生産性に欠ける行動ばかりをしている。そんな若者たちの在り方には批判も多く寄せられたようですが、当時の若者たちのほうが「何者かになる」という意味では現代の若者よりも幸福を享受できていたのだと個人的には思います。誰もが名前を知っているブランド品を身に纏い、雑誌を読み込んで流行を追いかけてさえいれば、自分のアイデンティティが保たれ、周囲からも承認される。自尊心や承認欲求を比較的保ちやすい社会だったのだな。それが1981年の若者社会に対する私の率直な感想です。時代の流行というものは移り変わるものであり、現代の若者には脱物質主義的な価値観が横行していて、モノ消費よりコト消費、という言葉も散見されます。けれども、コト消費などというのはマーケティングのためのまやかし...
【政治雑記】北海道にとって中国は味方で東京が敵である
北海道では山林を中国資本が大規模に買収しているらしい。山林のみならず、例えば観光産業やエネルギー産業(太陽光発電)においても中国資本による土地や建物への投資が増えており、北海道における中国資本の存在感は日増しに強くなっている。当然、国粋主義的な人々にとって怒り心頭な事象に違いない。強硬な論調で「国土防衛策」を論じたくなる気持ちも分からなくはない。しかし、東京のような大都市で愛国者気取りの人々が気炎を上げている光景を、北海道民はどのように見ているのだろうか。北海道はこれまで、さんざん東京に収奪されてきた、なによりも人間を収奪されてきた。1965年から1970年にかけて、北海道は人口の5%を社会減で失っているし、1985年から1990年にかけても3%を失っている。1970年には約7万人が、1987年には4万人近くが流出したのである。(北海道人口ビジョン「」より)近年は社会減が緩やかになっているものの、それでも転出超過は続いている。2020年における北海道人口の社会減は2,331人。全人口が527万人だから、人口の0.04%が流出したことになる。2019年は3,715人の社会減、2018年は...
【ビジネス雑記】無能な高学歴者が発生する理由は受験勉強が利己的な行為だから
あいつは東大卒のくせに使えない。太古の昔から鉄板となっているフレーズです。高学歴者を新卒一括採用で入社させ、年功序列賃金制のもとでゆっくりと昇進させていく会社では陰口の定番となっている言葉なのではないでしょうか。もちろん、純粋な嫉妬からこういった発言が出てくる場合もあるのでしょうが、事実として使えない高学歴者も存在しているのでしょう。本記事ではなぜ高学歴者の中に使えない人間が紛れ込むのかについて考察していきます。といっても、結論は記事タイトルで述べたとおりです。つまり、受験勉強は利己的な行為であり、それを上手くやりきった人物が受験戦争を制するが、ビジネスや社内組織で活躍するのは(適切な形で)利他的な人物であるからです。まず、受験勉強について分析します。受験勉強という行為はどこまでも利己的な所業です。全ては自分自身の能力を高めるために行われ、どれだけ受験勉強を頑張ったところで周囲の人物に対する助力にはなりません。実利的なメリットを周囲に与えることもなければ、感動のような感情利得を与えることもありません。あなたが受験勉強を頑張ったから、わたしは楽になった、とても助かった。そんな事態は起き得...
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