第4位 「トーマの心臓 」萩尾望都
【あどけない少年たちの友情と信仰】
・あらすじ
舞台はドイツのギムナジウム(中高一貫の男子校)。
学園のアイドル的存在だったトーマ・ヴェルナーの事故死した直後、トーマによく似た容姿の転校生が学園へとやってきた。
転校生の名前はエーリク・フリューリンク。
そんなエーリクの姿を見て、ユリスモール・バイハン(通称、ユーリ)は動揺する。
トーマがユーリに対して想いを寄せていたこと。
トーマの死が実は自殺であること。
その事実を、ユーリだけが知っているから。
ユーリへの叶わなかった恋を胸に死んでいったトーマが蘇ったみたいだから。
秘密を知る者ユーリと、数奇な闖入者エーリクの運命が交錯する学園ドラマ。
・短評
トーマから愛されていたにも関わらず、トーマに対して冷然とした態度で接し続けていたユーリが、エーリクとの交流を通じて自身の過ちに気づいていく過程が本作の見所となっております。
成績優秀で品行方正、それでいてリーダーシップもある。
しかし、ユーリは心の闇を抱えていて、他者に自分の深いところを見せないような冷たさを持っている。
そんなユーリが、情熱的で清冽な友情に絆されながら、誰かを愛すること、許し許されながら生きていくことの大切さを実感し、本当の人間関係を築ける人間に成長していく姿が非常に印象的です。
また、少女漫画家が描く幻想的で理想的な男子校の雰囲気も特徴的で、どこか宝塚歌劇のような風格を感じる漫画となっております。
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