2020-07

☆☆☆(教養書)

教養書 「戦争の世界史」その4 ウィリアム・H・マクニール 星3つ

1. 戦争の世界史 その4 「戦争の世界史」レビュー最終編になります。「その4」ではついに第一次世界大戦と第二次世界大戦が取り上げられ、いわゆる国家総力戦体制が世界市場に登場する過程が明らかにされていきます。前編「その3」はこちら。 2. 目次 ・上巻第1章 古代および中世初期の戦争と社会第2章 中国優位の時代 1000~1500年第3章 ヨーロッパにおける戦争というビジネス 1000~1600年第4章 ヨーロッパの戦争のアートの進歩 1600~1750年第5章 ヨーロッパにおける官僚化した暴力は試練のときを迎える 1700~1789年第6章 フランス政治革命とイギリス産業革命が軍事におよぼした影響 1789~1840年 ・下巻第7章 戦争の産業化の始まり 1840~1884年第8章 軍事・産業間の相互作用の強化 1884~1914年第9章 二十世紀の二つの世界大戦第10章 一九四五年以降の軍備競争と指令経済の時代 3. 概要 第九章では、第一次世界大戦、第二次世界大戦を通じて総力戦体制が構築される過程が説明されます。 第...
☆☆(小説)

小説 「容疑者Xの献身」 東野圭吾 星2つ

1. 容疑者Xの献身 ミリオンセラーを連発し、ドラマ化・映画化作品も多数。受賞した文学賞も数知れずという現代の大人気大衆小説家、東野圭吾さんの作品で、彼の代表作だと言ってもよいでしょう。直木賞を獲得したほか、国内の主要なミステリ賞を五つ受賞。発行部数は驚異の1000万部を誇ります。 さて、そんな世間的評価の高い作品なのですが、個人的にはありきたりで普通の作品に思われました。ミステリーのトリックは凄いといえば凄いのですが、そういったトリックの精巧さよりも人物の心理描写や脚本に重きを置く性格だからかもしれません。やや感情移入しづらい登場人物たちと、あざとすぎる「劇的」な展開には少し興醒めで、著しく悪い点はないものの、かといって凡庸の域を出ない作品だと感じます。 2. あらすじ 小さなアパートに暮らす花岡靖子・美里母娘。平穏な日常を送っていた二人だったが、元夫である富樫慎二がこのアパートにやって来たことから彼女たちの運命は大きくねじ曲がっていく。ストーカーのように纏わりつく富樫に二人は辟易しており、二人はついに、富樫を殺してしまうに至るのだった。 そん...
ロミオとジュリエット

映画 「ロミオとジュリエット」 監督:フランコ・ゼフィレッリ 星3つ

1. ロミオとジュリエット 1968年公開の映画で、言わずと知れたシェイクスピアの名作「ロミオとジュリエット」の映画化作品です。近年流行りの「新解釈」などではなく、原作に忠実な脚本となっているのですが、それでいて当時は大ヒット。 アカデミー撮影賞、アカデミー衣装デザイン賞、ゴールデングローブ賞外国語映画賞など様々な賞を受賞しました。 そんな作品を2020年に鑑賞してみたわけですが、なかなか良かったというのが率直な感想です。 シンプルでハイテンポな恋愛劇というまさに古典王道を感じさせる作風で、しらけるような場面もなくずっと見ていられます。 凝った作品が見せる深い感動はありませんが、ハラハラ、ドキドキ、いちゃいちゃ、そして胸を衝く悲しみという要素が揃ったエンタメの良作でした。 2. あらすじ 部隊は中世イタリアの都市ヴェローナ。 この街では、モンタギュー家とキャピュレット家という二つの名家が長年にわたって抗争を繰り広げていた。 そんなある日、モンタギュー家の嫡男ロミオは、友人たちとともにキャピュレット家のパーティーに忍び込む。...
電車男

漫画 「電車男」 原秀則 星1つ

1. 電車男 インターネット掲示板「2ちゃんねる」での書き込みをもとにした恋愛物語で、小説、漫画、映画、そしてテレビドラマと様々なメディアミックスを経て話題になりました。 特に伊藤淳史と伊東美咲主演のテレビドラマ版は大ヒットし、視聴率は平均で20%を越えたほどです。気弱なオタク男性と典型的な美女がひょんなことから出会い、恋に落ちていくというありがちな展開ながら、当時は現在よりも輪をかけてキワモノ扱いだったインターネット掲示板を物語のギミックとして使用したことが評判となりました。 インターネット住民たちに応援されながら恋愛を通じて成長していく主人公への共感と、インターネット住民たちが行う「インターネットを通じた応援」の独特さ、そして、主人公の行動から勇気を得て変わっていくインターネット住民たちの人生という二重三重の面白さが小気味のよいエンタメを提供しつつ、それでいて芯には真っすぐすぎるほどの純愛が据えられているという点で斬新だったのです。 さて、そんな「電車男」の、今回は漫画版を読んでみたのですが、感想としてはとても残念なものでした。私は「原作」であるインターネ...
社会学・歴史・スポーツ

教養書 「戦争の世界史」その3 ウィリアム・H・マクニール 星3つ

1. 戦争の世界史 その3 たった一人で通史を描き出した「世界史」という本で有名なマクニール教授が、今度は「戦争」という観点から世界史を描き出した本作。「その2」から続いてレビューしていきます。「その3」で取り上げるのは下巻の内容、〈戦争の産業化〉が始まる1840年以降の歴史が解説されています。 2. 目次 ・上巻第1章 古代および中世初期の戦争と社会第2章 中国優位の時代 1000~1500年第3章 ヨーロッパにおける戦争というビジネス 1000~1600年第4章 ヨーロッパの戦争のアートの進歩 1600~1750年第5章 ヨーロッパにおける官僚化した暴力は試練のときを迎える 1700~1789年第6章 フランス政治革命とイギリス産業革命が軍事におよぼした影響 1789~1840年 ・下巻第7章 戦争の産業化の始まり 1840~1884年第8章 軍事・産業間の相互作用の強化 1884~1914年第9章 二十世紀の二つの世界大戦第10章 一九四五年以降の軍備競争と指令経済の時代 3. 概要 第七章では、蒸気船と鉄道、そして工作機...
☆☆☆(教養書)

教養書 「戦争の世界史」その2 ウィリアム・H・マクニール 星3つ

1. 戦争の世界史 その2 たった一人で通史を描き出した「世界史」という本で有名なマクニール教授が、今度は「戦争」という観点から世界史を描き出した本作。「その1」から続いてレビューしていきます。 2. 目次 ・上巻第1章 古代および中世初期の戦争と社会第2章 中国優位の時代 1000~1500年第3章 ヨーロッパにおける戦争というビジネス 1000~1600年第4章 ヨーロッパの戦争のアートの進歩 1600~1750年第5章 ヨーロッパにおける官僚化した暴力は試練のときを迎える 1700~1789年第6章 フランス政治革命とイギリス産業革命が軍事におよぼした影響 1789~1840年・下巻第7章 戦争の産業化の始まり 1840~1884年第8章 軍事・産業間の相互作用の強化 1884~1914年第9章 二十世紀の二つの世界大戦第10章 一九四五年以降の軍備競争と指令経済の時代 3. 概要 第四章では、1600~1750年のあいだに進行したヨーロッパ軍隊の劇的な質的変容が語られます。 イタリア諸都市が市民皆兵から傭兵にその軍備の中...
社会学・歴史・スポーツ

教養書 「戦争の世界史」その1 ウィリアム・H・マクニール 星3つ

1. 戦争の世界史 その1 古来から、人類社会と切っても切り離せない関係にあった「戦争」という営み。本書のサブタイトルである「技術と軍隊と社会」という言葉の通り、「戦争」は人類の生活に絶え間なく影響を与え続け、いまなお私たちの生活と切っても切り離せない関係にあると言えるでしょう。 レトルト食品からインターネットまで軍事技術から生まれた製品は数知れず、また、「軍隊式」と呼ばれるような行動様式や規律保持方法は会社や学校と行った私たちの暮らしの中心となる場所に多かれ少なかれ浸透しています。軍隊の階級こそ戦後日本の企業体や雇用方式の源流になったという考え方は、「日本社会のしくみ」でも紹介されておりました。 経済という意味でも、防衛関連産業は世界各国において主力産業となっていますし、より時間を戻せば、社会経済の全てが戦争に動員されていた時期だってあるわけです。 そもそも、現存する国家(諸集団・諸社会)というものは必ず、これまでの「戦争」を生き残り滅亡を免れてきたわけですから、その歴史や特徴を考えるとき「戦争」という切り口が有効なのは火を見るより明らかでしょ...
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