2019-10

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☆☆(漫画)

漫画 「足摺り水族館」 panpanya 星2つ

1. 足摺り水族館同人誌掲載作を集めた作品集ながら「このマンガがすごい! 2014 オトコ編」において第14位にランクインして一部界隈で注目を浴びた作品。著者であるpanpanyaさんは同人活動を中心とされている漫画家でしたが、現在は白泉社発行の漫画雑誌「楽園 Le Paradis」にて作品を連載しております。感想としては、「このマンガがすごい! 2014 オトコ編」 へのランクインに著者自身が驚いたと述べているように、明らかに万民向けの作品ではありません。独特な絵柄と不思議な世界観が魅力だとするファンもいらっしゃるのでしょうが、一般人にとっては意味不明の一言でしょう。私もどちらかというとマイナー分野好きの人間ですが、この作品はあまり受け付けませんでした。2. あらすじ〇足摺り水族館少女は親戚から貰った本に「足摺り水族館」の入場チケットが挟まっているのを発見する。翌日、チケット裏に記されていた道順を頼りに「足摺り水族館」を目指すのだが、だんだんと不思議な世界に迷い込んでしまい……。〇イノセントワールド京都での修学旅行の途中、同級生とはぐれてしまった少女。仕方なく最後の集合場所となってい...
政治制度・統治機構・法学

教養書 「憲法Ⅰ 人権」 青井美帆・山本龍彦 星4つ

1. 憲法Ⅰ 人権法学部や経済学部を卒業した方々にはお馴染み、社会科学・人文科学系学術出版社である有斐閣。基本的には小難しい本ばかりを出版している会社なのですが、「学問と高校までの知識とがどう結びつくのかを理解しながら,じっくり思考を深めるためにまず手にとってほしい1冊」を刊行するレーベルとして「有斐閣ストゥデイア」が2013年に立ち上がっています。アカデミックの正統派に立ちながらも、いわゆる大学で教科書になっているような「~学入門」のような本よりもさらに易しい筆致で書かれた本が多く、私もよくお世話になっています。そんな「有斐閣ストゥデイア」シリーズから刊行された憲法学についての入門書が本書です。憲法学としての正統性を失わず(極論が書かれた俗本ではなく)、法律系の試験対策本でもなく、それでいて過度に重箱の隅をつつくような専門的議論ばかりでもない憲法の入門書は正直なところ「ない」というのがかつての結論だったところ、ついにその位置を射止める本が出てきたなというのが本書への評価となります。まずはこの本から、と胸を張って言える入門本になっております。2. 目次第1編 人権の意義と保障 第1章 ...
サン・テグジュペリ

小説 「人間の土地」 サン・テグジュペリ 星2つ

1.人間の土地郵便輸送機や偵察機のパイロットとして戦間期から第二次世界大戦にかけて活躍し、その傍らで自身の経験を元にした著作を多数発表した作家サン・テグジュペリの作品。彼の作品では「星の王子さま」「夜間飛行」の次に有名でしょう。新潮文庫版ではカバー絵及び解説を宮崎駿が担当するなど、各方面への影響の大きさが伺えます。「夜間飛行」のレビューはこちら。評価としては「夜間飛行」に一歩劣るといった印象。飛行機乗りとしてサン・テグジュペリが経験した様々な出来事はどれも印象的で烈しいものですが、「物語」としての質を問われるとイマイチです。2.あらすじベンガジを発ったサン・テグジュペリ機は夜空に迷い、砂漠の上に不時着してしまう。機体は炎上し、サン・テグジュペリと同乗していたプレヴォーの二人は着の身着のままで砂上に放置された。街の灯りも見えない砂漠の中、三日三晩彷徨い続ける二人の僚友。食料も水も尽き果て、幻覚が見えるようになる。生きることに挫けそうになりながらも立ち直り、生存への道筋を探していく。「愛するということは、おたがいに顔を見あうことではなくて、いっしょに同じ方向を見ることだ」極限状態に置かれた...
うたえ! エーリンナ

漫画 「うたえ! エーリンナ」 佐藤二葉 星2つ

1. うたえ! エーリンナ星海社(講談社100%子会社)が運営する4コマ漫画サイト「ツイ4」で連載されていた作品。古代ギリシアの女学校を舞台に、詩人を目指す女学生エーリンナの学校生活と合唱祭での奮闘を描くという異色のテーマとなっており、著者である佐藤さんがギリシア悲劇に造詣が深く、古代ギリシアの竪琴「リュラー」の演者でもあることからこそ描けたテーマだと言えるでしょう。そういった作品ではありますので、「古代ギリシア(の女学校)文化」にまつわる部分は興味深く読めました。ただ、物語自体は凡庸で、いかにも「漫画っぽい」展開をなぞっただけという感が否めません。百科事典的な面白さだけが評価できる作品でした。2. あらすじ舞台は古代ギリシアのレスボス島。ギリシア史上最高の女詩人サッポーが運営する女学校には嫁入り前の女性たちが集められ、日々、花嫁修業に励んでいた。そんな女学校に入学したエーリンナだったが、機織りのような花嫁修業科目には全く興味なし。彼女の夢は詩人になることであり、サッポー先生には特別な敬慕の念を抱いている。しかし、古代ギリシャにおいて女性が自由に振舞えるのは学校に通っている時期だけ。...
☆☆☆(教養書)

教養書 「映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと」 シド・フィールド 星3つ

1. 映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと映画脚本の書き方を定式化し、今日においてもその理論は色褪せるどころか「三幕構成」として多くの創作家たちに受け入れられている脚本家、シド・フィールドの著書。映画脚本の指南書として書かれ、著者自身もそのつもりだったものの、映画に関わらず広い意味での物語創作術の古典として知られています。内容はなかなか面白かったですね。言われてみれば当然だけれど確かにそれをやるのとしないのとでは違うだろうなぁという脚本づくりの基礎が述べられており、そもそも脚本の中の要素(主題・登場人物・ストーリーライン)がどうやって生まれてくるのか、それらをどのようなフレームワークに収めればよいのかが書かれています。やや繰り返しが多くて文章が散漫、また、具体例として言及する映画が偏っているという点に難を感じましたが、読後は物語を見る目が少し変わるかもしれません。2. 目次第1章 映画脚本とはなにか第2章 主題(テーマ)を作る第3章 登場人物(キャラクター)を創造する第4章 登場人物(キャラクター)を構築する 第5章 ストーリーと人物設定 第6章 エンディングとオープニングを...
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