2018-11

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☆☆(映画/アニメ)

アニメ映画 「名探偵コナン ベイカー街の亡霊」 監督:こだま兼嗣 星2つ

1. 名探偵コナン ベイカー街の亡霊1994年に週刊少年サンデーで連載を開始して以来、その名前を知らない人はいないというくらいに国民的作品として認知されるようになった「名探偵コナン」。アニメも長らく大人気で、映画も毎年制作されております。最新作の「名探偵コナン ゼロの執行人」では興行収入が100億円を越えるなど、その人気は今日でも右肩上がりに上昇しているようです。そんな映画シリーズの中でも、特に高い評価を得ているのが本作品。歴代作品をランキングづけしているサイトも多くありますが、上位3つには必ず入っていると言っても過言でないくらい定番の作品となっています。とはいえ、単独の映像作品として作られた数々の作品と同じ俎上に並べてしまえば星2つが限界です。悪くはなかったのですが、小さな子供から大人までが肩の力を抜いて見られる娯楽として作らなければならないという側面と、何か映画として高尚なメッセージを残さなければならないという意識の板挟みの中で中途半端になってしまっている印象が強く、普遍的で古典になり得るような作品にはなっていませんでした。劇場版 名探偵コナン ベイカー街(ストリート)の亡霊【Bl...
百日紅

【百日紅】葛飾北斎とその娘が主人公。江戸時代を舞台にした連作短編漫画 評価:1点【杉浦日向子】

1. 百日紅漫画家であり江戸風俗研究家でもあった杉浦日向子さんの作品。杉浦さんのオリジナル作品として「百物語」と並ぶ代表作だとされています。2015年には映画化されており、アヌシー国際アニメーション映画祭や第19回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門などで賞を獲得しております。葛飾北斎とその娘であるお栄を中心に江戸の風俗を描く、という他にはない珍しいジャンルというところは目新しいのですが、物語は凡庸で、主人公格の二人が著名な絵師であるということもあまり活かされてはいません。時代考証の精緻さという面で評価する人は評価するのでしょうが、決して娯楽的面白さを求めて手を出す作品ではないでしょう。2. あらすじ有名な絵師としての地位を確立しながらも、葛飾北斎は長屋で質素に暮らしている。同居人は三女のお栄と居候の善次郎。二人とも北斎の弟子であり、お栄は北斎の代筆をするほどの腕前。善次郎も江戸の町で徐々に頭角を現してきていた。しかし、お栄は地黒で、父の北斎にさえ「アゴ」と呼ばれるくらいに容姿が芳しくなく、生娘であることから春画にはいまいち難がある。善次郎も女好きで茶屋通いがやめられないという欠点を...
茄子 アンダルシアの夏

アニメ映画 「茄子 アンダルシアの夏」 監督:高坂希太郎 星3つ

1. 茄子 アンダルシアの夏自転車競技を題材にした珍しいアニメ映画で、スタジオジブリ作品のスタッフに原画や作画関連で名を連ねることが多い高坂希太郎さんが監督。近年では人気の児童小説「若おかみは小学生」の映画版でメガホンを取っています。また、以前に本ブログで紹介した「王立宇宙軍 オネアミスの翼」でも原画を務めるなど、アニメ映画界の中心的人物の一人だと言えるでしょう。本人も大の自転車好きということが本作をつくるきっかけとなったようです。映画といっても45分という短時間の作品なのですが、人間の情熱を描いた王道の作品で、テンポも小気味よく飽きさせません。深みという点においては居並ぶ名作たちと比較すると一歩劣りますが、佳作という評価がぴったりの映画だと思います。茄子 アンダルシアの夏posted with カエレバ大泉洋 (C)2003「茄子アンダルシアの夏」製作委員会Amazon楽天市場 
経済・金融・経営・会計・統計

新書 「現代経済学」 瀧澤弘和 星4つ

1. 現代経済学古くは傾斜生産方式や所得倍増計画、最近ではアベノミクスなど、どの政権でも経済政策は中心的な分野として扱われ、人々の生活に大きな影響を与えてきました。海外でも、例えば最近の米国における大幅減税と財政出動はトランプ大統領の目玉政策の一つです。そんな経済政策に理論的枠組みを与えてきたのが経済学という分野。共産主義退潮の後は(新)ケインズ主義と新古典派が主要な流派として語られることが多かったのですが、近年になって経済学の捉え方、経済に対する焦点の当て方が多様化しており、経済学の枠組み自体が決定的に変化しつつあります。本書の副題である「ゲーム理論・行動経済学・制度論」がまさにその変革を代表するキーワードと言えるでしょう。本書の序章でも触れられている通り、最近のノーベル経済学賞はこれらの分野の第一人者が次々と受賞しています。そして、入門レベルの経済学の知識を前提に、そういった「現代」の経済学をこれまでの経済学と対比させながら、古今の繋がりとブレイクスルーを過不足ない記述で分かりやすく伝えてくれているのが本書。新しい経済学の流れを概観するのにうってつけの新書です。2. 目次本書の目次...
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