確かに、猫は可愛く、甘えてくる側面とツンと突き放してくる側面のバランスは人間の心を鷲掴みにします。
それを(部分的にでも)理想の女性像にあてはめてしまうというのはありがちなことで、猫耳が適度に従属し適度に反抗してくれる理想の女性のシンボルとして一部に人気があるのも頷けます。
しかし、「猫のような特徴を持つ成人女性」が小説に登場するとなると話は違います。
その人物の正体が本物の猫であるということに気づかないまま読み進めた場合、この真緒という人物の気持ち悪く不自然な振る舞いには辟易とするでしょう、
真緒には真緒自身のキャリアやコンプレックス、人生についての悩みなど何もなく、ただただ浩介の薄っぺらい「恋愛奴隷」であるだけです。
②のパターンでは①のような感想を抱くことはないでしょうが、最も興奮が訪れるべき終盤の展開になんら驚くことがありません。
真緒が衰弱していっても、ベランダから飛び降りて赤ちゃんを救っても、最後に「実は猫でした」と明かされても、「そうですね」としか思えない。
「前代未聞のハッピーエンド」もこれでは台無しです。
以上のように、私としては全く楽しめず、「女子が男子に読んで欲しい恋愛漫画No.1」というキャッチコピーには疑問しかありあせんでした。
とはいえ、それが受け入れられ、売れているのが事実。
若い人々の感性を理解するため(そして自分との乖離を理解するため)にも読んでおくべき本の一つだったのかもしれません。
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