大手ネット証券会社マネックス証券のアナリストである福島理氏の著書。
株式投資の世界においては、各企業の業績や周辺環境から株価の割安/割高を判断するファンダメンタル分析と、株価そのものの推移傾向から将来の値動きを予想するチャート分析という、大きく分けて2つの分析手法があり、本書は後者の入門本という位置づけです。
もちろん、入門本なのですから、一から説明するという趣旨は分かります。
しかし、本書の説明はあまりにも形式的であり、インターネットで簡単に手に入る情報しか紹介されてないうえ、その内容が劇的に分かりやすかったりするわけでもありません。
おまけ程度についている各章僅か数ページずつの漫画もいまいちチャートとの関連性が分かりづらく、あまり理解の助けになっていないという印象。
投資ブームに乗っかっただけの著作だと感じました。
目次
Part1 過去の高値と安値
Part2 ローソク足
Part3 トレンドライン
Part4 チャートパターン
Part5 移動平均線
Part6 MACD
Part7 ボリンジャーバンド
Part8 一目均衡表
Part9 RSI
Part10 フィボナッチ
感想
株式投資の経験がある人ならば、目次に示したような指標の名前には親しみを感じるでしょう。
本書はこれらの指標を初心者向けにマンガ付きで解説してくれるという内容なのですが、かなり内容が薄く、最初の一冊として買うのは悪くないけれど、こんなもの、ググれば全部この本よりも説明が深くて分かりやすいサイトが沢山出てくるよ、と言いたくなってしまいます。
買ってしまった私が言うのもなんですが、インターネットで調べる前に本書に手を出すような調査力であれば、却って、株式投資はやめておいた方がよいのではないかと思うほど。
(私は著名な個人投資家であるテスタさんの切り抜き動画で本著の名前が出ていたので買ってしまいました。情弱です)
どの章にも間違ったことは書いていないのですが、個別銘柄の実際の動きを例示してその実用性を示すとか、どういった時代や環境においてどのテクニカル指標が特に有効だったとか、ダマしの実例だとか、そういった、現実の具体的な株式市場を分析するような解説がなく、単に点や線がこう動いた状況をこういう名前で読んでいますよ、という程度の説明に終始しています。
また、期待していた漫画の質はダメダメで、一章ごとに多くても5ページ以下しかないうえ、その内容は営業マンとOLの日常を相場変動のメタファーとして描くというだけ。
登場人物がチャートを図解してくれたり、数値を分析してくれるといったような代物ではありません。
加えて、漫画自体のエンタメ的な面白さは皆無であり、謎の会社員の日常をただひたすら読まされているだけという状況に陥ります。
そんな本書なのですが、果たして売れているのかと最後のページをめくってみると、私が手に取ったのは第4刷とのことで、これが増刷されるようでは相場も末期かなと勘繰りたくなります。
シンプルに買わなくてよい本です、自分でそう書いていて後悔が募ります。
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