シリコンバレーでコンサルティング会社を営むグレッグ・マキューン氏の著書。
2014年の発売(邦訳版)ながらながらいまだに増刷が続くロングセラーとなっております。
非常に有名な書籍ですので、ビジネス書や自己啓発本に興味がある方ならば一度くらいは耳にしたことがあるタイトルなのではないでしょうか。
そんなタイトルに違わず、本当に重要なこと、エッセンシャルな事柄に人生の時間を使えという内容となっております。
そう表現いたしますと、凡庸な本なのでは、と思われるかもしれませんが、多種多様な事例と軽妙で説得的な語り口、さらに、いかにして「エッセンシャル思考」を実行していくかという具体的な思考法が記述されている点に本書の妙味があります。
手軽に読めるうえ、文字通りエッセンスが凝縮された本になっておりますので、「エッセンシャルな事柄に人生の時間を使う」ためには具体的どのような思考・行動をするべきなのかという視点を得るために読んでみる価値があるのはもちろん、「大事なことだけに集中する」「些末なことを切り捨てる」という大胆な生き方が重要だと頭では分かっているけれど、心では躊躇いを感じている、そんな人が読むと背中を押してもらえると思います。
目次
PART1 エッセンシャル思考とは何か
PART2 見極める技術
PART3 捨てる技術
PART4 しくみ化の技術
PART1 エッセンシャル思考とは何か
PART1では「エッセンシャル思考」の概要が語られます。
要点は前述の通り「大事なことだけに集中する」なのですが、人生をぼんやり生きていると、これとは真逆の行動をしてしまうということが本書では強調されています。
つまり、普通に生きてしまっていては、なにもかもを行わなくてはという強迫観念に振り回されがちで、いつもあらゆることが重要に思われ、頼み事を断ることもできず、とりあえず期限が差し迫ったものから行うなどの場当たり的な対処を繰り返すことになります。
その結果、全てが中途半端になり「やるべきこと」に振り回されるばかりの人生になってしまう、というわけです。
これを打破するための思考法こそ「より少なく、より良く」という考え方。
ごく少数の本質的に重要なことを見極めて自ら選択し、その実行に集中することで、自らの人生を自分でコントロールしながら質の高いアウトプットを実現する。
その結果、仕事を成功させながら人生の充実感や幸福感を得ることができるというわけです。
また、PART1に出てくる文言の中では「大多数のものは無価値である」という言葉が個人的には気に入っております。
少しでも価値がありそうな事柄に無為な「重要性」を見つけてしまう癖を自覚しておりますので「大多数のものは無価値である」と心の中で唱えながら事物を観察することで、本当に実行価値のある事柄を見極めていきたいですね。
PART2 見極める技術
PART2以降では「エッセンシャル思考」を実行していくための具体的な技術が紹介されます。
PART2で紹介される技術は「見極める技術」。
PART2内の章立ては「孤独」「洞察」「遊び」「睡眠」「選抜」となっております。
このうち「孤独」と「睡眠」についてはその文言を見ただけで広く共感を得られるのではないでしょうか。
急かされながら睡眠不足の頭で考えていては、何事においても良い判断はできません。
多忙な現代社会だからこそ、思索と睡眠の時間を意図的に作り出すべきなのでしょう。
「洞察」と「遊び」についても、ビジネス書や自己啓発本としては定番の要素です。
情報が反乱する社会の中で「洞察」することを忘れず、大量の無価値なノイズの中から重要なシグナルを見つけ出すこと。
そして、「遊び」を通じて創造性や新しい視点を獲得し、同時にストレス低減と脳の活性化という効用を得ること。
これらは様々な自己啓発コンテンツで繰り返し言及されている事柄であり、ややオリジナリティに欠ける部分だと感じられました。
とはいえ、「遊び」が重要であるという点は何度繰り返しても足りないくらい大事なことだと個人的にも感じます。
自由に「遊べる」としたら何をやりたいかを想像してみたり、現実に自由な「遊び」として自分は何をやっているのかを整理してみたりする。
自分が本当にやりたいこと、自分にとってエッセンシャルなことが見つけるためには、こういった想像や整理が有効なのではないかと思います。
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