【現代社会】おすすめ現代社会評論3選【雑記まとめ】
映像作品タイトル「た」行
【偽物の世界から脱出せよ】映画「トゥルーマン・ショー」ピーター・ウィアー 評価:3点 【アメリカ映画】
1998年公開のアメリカ映画。ある凡庸な男の人生が本人には知らされることなく全世界に放映されている、という突飛な設定が関心を惹く作品です。監督は「いまを生きる」等の作品で知られるピーター・ウィアー。“Yes Man”の主演等で知られるジム・キャリーが主人公のトゥルーマンを演じています。全体的な感想としては、初期設定の面白さはよく効いていたものの、その突飛な設定から展開される面白さ以上の工夫がやや薄く感じられました。あらすじ主人公の名前はトゥルーマン・バーバンク。離島に存在する小さな町、シーヘブンで保険会社に勤務する30歳の男性である。凡庸ながら幸福な日常を送る彼の人生には、他の人の人生とは決定的に異なっている点があった。それは、このシーヘブンという街自体がリアリティ番組のセットであり、彼の人生は30年に及ぶリアリティショーとして世界中に放映されているという点。トゥルーマンは30年間この事実に気づかないでいたが、番組側のミスが重なり、トゥルーマンは徐々に世界の「おかしな」在り方に気づいていく。真実を知ろうと敢えて奇行を繰り返すトゥルーマン。数奇な人生を送る彼が最後に導き出した答えとは……...
【場末の歌手と厳格な教会】映画「天使にラブソングを」エミール・アルドリーノ 評価:4点【アメリカ映画】
1992年に公開されたハリウッド映画で、大ヒットしたために日本でもよく知られているタイトルとなっております。金曜ロードショウでも合計6回放送されており、最新の放送は2020年の5月と、近年でもその人気は衰えておりません。そんな本作を今回初視聴したのですが、非常に満足できる映画でした。テーマもテンポも物語の起伏も素晴らしく、常にわくわくしながら観ていられる作品です。あらすじナイトクラブで歌手をしているデロリスはマフィアのボスであるヴィンスの愛人でもあった。ある日、ヴィンスから貰ったコートにヴィンスの妻の名前が入っていたことにデロリスは激怒する。怒り心頭のデロリスがヴィンスの部屋を訪れたとき、マフィアの下っ端が裏切りの濡れ衣を被せられてヴィンスとその側近に始末される現場をデロリスは目撃してしまう。必死の逃亡を図って警察署に駆けこんだデロリスは警察の保護下に置かれることになったものの、殺人現場の目撃者としてマフィアから狙われているデロリスを匿う場所を選ぶのは難しい。そんな中、デロリスの警護担当となったサウザー警部補がデロリスの隠匿場所として選んだのは聖キャサリン修道院。修道院になど絶対に馴染...
【時をかける少女】昭和の青春をノスタルジックに描く名作SF小説の実写映画版 評価:2点【大林宣彦】
1983年公開の旧い映画ですが、近年でも話題に上ることが多い作品です。広島県尾道市を舞台にした「尾道三部作」の一作として、大林宣彦監督の代表作に連ねられています。同監督が2020年4月に亡くなられたため、4月18日には追悼の意味を込めた再放送が行われたりもしました。本作が恒常的に注目を集める理由として、原作である同名小説がメディアミックスの底本として定番化しており、近年においても度々リメイクされていることの影響が大きいでしょう。2006年のアニメ映画(監督:細田守、主演:仲里依紗)、2010年の実写映画(監督:谷口正晃、主演:仲里依紗)、2016年のテレビドラマ(主演:黒島結菜)、2015年の舞台版(演劇集団キャラメルボックス)と、2000年代においてもその勢いは留まるところを知りません。本ブログでも、原作小説及び2006年のアニメ映画版を既にレビュー済みです。リメイクされるたびに、「時をかける少女」映像化の元祖として注目を集めるのが今回取り上げる1983年の実写映画版であり「元祖」足りうるだけの知名度を維持しながら愛され続ける作品になっております。また、注目を集める二つ目の理由として...
映画 「ティファニーで朝食を」 監督:ブレイク・エドワーズ 星2つ
1. ティファニーで朝食をオードリー・ヘップバーン主演の有名な古典映画で、1961年に公開されています。監督のブレイク・エドワーズは映画「ピンク・パンサー」シリーズを手がけた人物。原作小説の著者であるトルーマン・カポーティは村上春樹が影響を受けた作家として知られています。内容は王道のロマンティックラブストーリーですが、個人的にはそのカテゴリにおける凡作以上の作品にはなっていないと感じました。 1961年という時代を考えれば、 田舎出身の美人娼婦と無名作家の都会的で悪戯な恋愛模様という物語はもしかすると当時画期的で、「都会のはぐれもの同士の恋愛」という枠組みをつくったのかもしれません。しかし、さすがに展開が一本調子すぎて退屈な部分がありますし、かっこよさの演出もベタすぎて(もちろん、この古典こそがベタさ(=現在のスタンダード)の先駆者だったのかもしれませんが)今日の視聴においてとりわけ良いと感じることはできないでしょう。2. あらすじホリー・ゴライトリーはニューヨークのアパートに住み、娼婦として生計を立てていた。しかし、いくら稼いでも浪費ばかりで少しもお金は貯まらず、大金持ちとの結婚で玉...
「天気の子」新海誠 評価:3点|美麗な音楽と情景描写、ハイテンポな物語が見どころの青春ファンタジー【アニメ映画】
「君の名は。」で記録的な大ヒットを獲得し、アニメーション映画監督としての名声を一気に高めた新海誠監督3年ぶりの新作。今月(2019年7月)に封切られたばかりの作品ですが、既に「君の名は。」を超える速度で興行収入を伸ばしているという情報まであるほどで、映画ファンの新海誠監督に対する期待の高さが伺えるところです。凡庸な少年と天気を自在に操ることのできる少女のボーイ・ミーツ・ガール物語という触れ込みでしたが、公開初日に大雨からの晴れという天気が実際に起こったりと、まさに現代日本を覆う異常気象の片鱗とマッチした点でも天命に恵まれた作品になりました。当ブログでも「君の名は。」については2回ほど記事にしており、本作「天気の子」についても公開を楽しみにしておりました。また、同監督の作品では2013年公開の「言の葉の庭」も記事にしております。そんな「天気の子」ですが、感想としてはストーリーが中の上、キャラクターの魅力は中の中から中の下といったところでしょうか。ただ、演出やテンポといった面では相当優れていたほかうえ、他の側面においても要素要素を見れば魅力的な点も多々あり、それゆえ評価3点(平均を超える作...
アニメ映画 「つみきのいえ」 監督:加藤久仁生 星3つ
1. つみきのいえ2008年にアカデミー賞の短編アニメーション部門を受賞した作品です。日本の作品では現在のところ最初で最後の受賞作となっており、当時はマスコミ等でも多く取り上げられていた印象ですが、やはり芸術的な短編アニメーションは大衆作品となり得ないのか、近年脚光を浴びているかと言われれば否というのが答えになってしまうでしょう。全体的な特徴としては、絵本のような作品で、かつて「みんなのうた」でよく見た画風に近い印象です。たった12分の作品ですが、無音のうちに展開されるストーリーから感じられるノスタルジーと生きることへの強い信念が際立ちます。ただ、いわゆる構成やキャラクターに趣向が凝らされたエンタメ的盛り上がりや、人生観をがつんと叩いてくるような威力はないというところは弱点です。12分の作品では仕方がないのかもしれませんが、この技法・作風では星3つが天井だとも感じました。2. あらすじ海面の上昇著しく、多くの人が去ってしまった街。おじいさんは積み木のように上へ上へと家屋を増築しながらこの街に踏みとどまっている。そんなおじいさんはある日、お気に入りのパイプをせり上がってきた水面に落として...
アニメ映画 「時をかける少女」 監督: 細田守 星4つ
1. 時をかける少女民放とNHKで延べ12回放映されているアニメ映画で、すっかり夏の定番となった作品と言えるでしょう。筒井康隆さんの有名原作に、「デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム」で頭角を現していた細田守さんを監督として迎え、「新世紀エヴァンゲリオン」のキャラクターデザインを務めた貞本義行さんと、「もののけ姫」の美術監督だった山本二三さんが脇を固めるという豪華布陣。ミニシアターでの上映から異例のロングランを成し遂げた出世映画でもあります。非常に凝った脚本が素晴らしく、演出も「静」と「動」のバランスがとれていて、これからも定番中の定番であり続けて欲しいと思わせられる映画になっております。 2. あらすじ紺野真琴(こんの まこと)は高校2年生。男友達の間宮千昭(まみや ちあき)や津田巧介(つだ こうすけ)とキャッチボールやカラオケで放課後の時間を過ごすような平凡な日々を送っている。そんなある日、真琴はひょんなことから自身がタイムリープの能力を得ていることに気づいてしまう。タイムリープの能力を得た真琴は、テストを受けてからテストを受ける前の時間に戻って好成績を収めたり、カラオケで...