漫画 「ひとりずもう」 さくらももこ 星3つ

ひとりずもう
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1. ひとりずもう

「ちびまるこちゃん」で有名なさくらももこさんが書いたエッセイのコミック版です。小学校高学年~短大での漫画家デビューまでの著者の半生が描かれています。

怠惰でときに信じられないくらいクズな性格の著者に共感しつつ、夢を追いかけるときの人間の強さや、友情の尊さを感じられる作品でした。

2. あらすじ

生理に対して不安を覚えたり、男子に恐怖を感じたり、恋に恋したり、誘いを断ってひたすらヒマに夏休みを過ごしたり。そんな日常の中でも、些細なことに感じやすく、そして、後の「ちびまるこちゃん」を髣髴とさせるシニカルな目線で生きる少女、さくらももこ。

そんなももこも将来の進路を考える時が来た。

エッセイで高評価を得たことをきっかけにエッセイ漫画を描いて投稿するようになったももこ。同じ頃、親友のたまちゃんも重い決断をする。彼女はアメリカの大学に進学することを決めたのだ。

まることたまちゃんの友情のゆくえ、そして、投稿生活の結果はいかに……。

3. 感想

友達の誘いを断って夏休みに「暇」をつくりだしたり、文化祭や夏休みの部活をサボれて「良かった」とのたまうももこの姿勢にはどこか暗澹とした、しかし、共感できる部分があって面白かったです。

いわゆる「真面目系クズ」なのかもしれませんし、谷川ニコさんの「わたモテ」に近いテイストも感じます。しかし、終盤の怒涛の展開には涙を誘われました。

寝食を忘れて漫画に打ち込む姿には後年の国民的アニメ原作者の影がはっきりと出ています。また、たまちゃんとの飾らない、しかし、強くて熱い友情はまさに感涙もの。

本当の友情というものは、ただ暑苦しく、どこかで聞いたような台詞ばかりの関係ではありません。たまちゃんとの「友情イベント」のようなものは一切ないのですが、だからこそ、この二人の日常における結びつきの強さが理解されます。

そして、夢を潰しにかかるのはいつも母親というのも「分かってるなー」と思うところです。スポーツ選手になる等の「親映えがよいこと」以外で母親に夢を応援してもらえている者はなかなか少ないでしょう。ももこの母親が、ももこの夢を追う姿を嘲笑する姿の生々しさもこの漫画の魅力となっています。

エッセイということで、特にストーリー構成の練りがあったわけではないので星3としましたが、かなり良質な作品だといえるでしょう。

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