アニメ映画 「夜明け告げるルーの唄」 監督:湯浅政明 星3つ

夜明け告げるルーの唄
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1. 夜明け告げるルーの唄

気鋭のアニメ監督、湯浅政明さんによるオリジナルアニメーション映画。「夜は短し歩けよ乙女」「ピンポン THE ANIMATION」などで有名な監督です。

フラッシュアニメの質感や、テーマにもなっている音楽の挿入は見事で、序盤~中盤のテンポは極めて良かったのですが、終盤にややダレた印象です。

2. あらすじ

舞台は田舎の港町、日無町。主人公のカイは東京出身で、父と祖父との三人暮らし。音楽以外にハマるものはなく、無気力な生活を送っていた。そんなある日、ネット上に自らが打ち込んだ音楽をアップしたことをきっかけに、カイは同級生である遊歩と国夫のバンド、「セイレーン」に誘われる。

当初はあまり乗り気でなかったカイだが、バンドの練習の帰り道、密漁を行う青年二人に襲われかけたところを、人魚の少女ルーに助けられる。音楽を通じた交流により打ち解け合っていくカイとルー。そんなルーの存在が、町の人々にも認知されてゆく。

そして、遊歩の祖父の提案で人魚を使った町おこしが画策される。大勢の観客の前で歌うことになったルーと「セイレーン」だが、カイは参加を拒否する。当日、カイ抜きで舞台に立つルーと「セイレーン」。しかし、素人のバンド演奏を不安視した祖父はプロのバンドを「保険」として用意。おびただしい数の観客とフラッシュを前にしたルーも混乱してしまい……。

悩みを抱える少年少女と小さな人魚の、町を巻き込んだひと夏の物語。

3. 感想

序盤からこんなにもぐいぐいと引き込まれる映画は久しぶりでした。

フラッシュアニメーションによる独特の絵柄がかえってリアル感を増していて、いわゆる「アニメ絵」とは一線を画す表現に生々しさがあります。テンポもたいへん良いものながら展開にも無理がなく、ルーがクーラーボックスを飛び出して砂浜で踊るシーンあたりまでは傑作だと信じて疑いませんでした。

しかし、その後はやや冗長。

人間の「恐ろしさ」を感じたルーの混乱と、それを助けようと町に乗り込むルーの父親。そして、祟りが起きて町が水没しかけるところで、少年少女が奔走し、ルーも町の人々を助けていく。

その筋書きは良いのですが、ルーの父親の特殊な力や、日無町の祟りの設定、町の混乱の様子など、やや「設定」じみた部分を説明するだけのシーンがあまりにも長すぎます。

上映時間をもう20分短くして、カイが「歌うたいのバラッド」を歌う名シーンに早くたどり着けなかったものか。

アヌシー国際アニメーション映画祭長編部門クリスタル賞を受賞とのことですが、そういったアニメーションの狭い分野だけでなく、もっと一般に受けようと思えばそのあたりの改善は必要でしょう。

とはいえ、全体的に見てもなかなか良い作品。見て後悔するということはないでしょう。

マイナーですがオススメな作品ではあります。

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