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【吹奏楽スポ根】小説 「響け! ユーフォニアム」 武田綾乃 星1つ

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小説1 響け!ユーフォニアム
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第1巻の感想

1. 響け! ユーフォニアム

京都アニメーション制作のアニメ「響け! ユーフォニアム」の原作小説です。

著者は刊行当時現役大学生だった武田綾乃さん。

吹奏楽経験者だからこそという表現や瑞々しい感性という点では良い面も見られたのですが、ストーリーや文章力といった作品の幹となる部分がイマイチという印象でした。

アニメ版は非常に良かったために意外な残念さを感じてしまいます。

「響け!ユーフォニアム」石原立也 評価:4点|せつなく激しい人間関係が交錯する、波乱万丈の吹奏楽スポ根一筋縄ではいかない人間関係が交錯する波乱万丈の吹奏楽スポ根【青春アニメ】
2015年に放送された、高校の吹奏楽部を舞台にしたアニメーション作品。「涼宮ハルヒの憂鬱」や「けいおん!」を手掛け、深夜アニメ界隈では評価の高い京都アニメーションの制作です。原作は武田綾乃さんが著した同名小説であり、ライト文芸が全盛の文芸界ではありますが、どちらかというと昔ながらのジュブナイル青春小説という装いの作品です。「吹奏楽」がテーマなので、音声を入れられる映像表現でさらに磨きをかけられると思ったのかもしれませんが、ライトノベルでもライト文芸でもない原作で勝負をかけてくるところに、京都アニメーションが他のアニメ制作スタジオと一線を画そうとしている気概を感じます.そんな本作ですが、近年の深夜アニメでは稀にみる出色の作品であると感じました。昔ながらの「スポ根」的な要素を上手く現代に蘇らせた作品であり、なおかつ、人間関係を主軸としたヒューマンドラマを魅力的に描けている作品でもあります。時おり挟まる過度な、いわゆる「百合」描写を除けば、そのまま午後6~7時台で放送されていてもおかしくないような、そんな王道青春部活物語になっております。あらすじ舞台は京都府宇治市、主人公は高校の新入生である...

2. あらすじ

主人公は高校一年生の黄前久美子(おうまえ くみこ)。

京都府立北宇治高校に進学した久美子は中学校に引き続き吹奏楽部に入部するか迷っていたが、同じクラスになった友人たちの勧めもあり、流されるままに入部する。

そんな久美子を待っていたのは、新しく顧問になった滝昇(たき のぼる)による厳しい練習。

元々はぬるま湯だった北宇治高校吹奏楽部。

当初は部員たちも彼に反発するが、上手くなっていく楽しさに気づき、吹奏楽部はコンクールに向け奮い立っていく。

そんな中、花形であるトランペットのソロパート決めで波乱が起こる。

部内オーディションの結果、三年生の中世古香織(なかせこ かおり)ではなく、一年生の高坂麗奈(こうさか れいな)がソロパートを吹くことになったのだ。

香織派と麗奈派に分裂してしまう吹奏楽部。

なぜ多くの上級生が香織のソロを望むのか。

そこには、三年生にとって最後のコンクールだということ以上に複雑な理由があって……。

3. 感想

著者の武田綾乃さんは吹奏楽の経験があり、しかも、宇治市の出身。

著者の経験や思い出が描写に生きていて、北宇治高校吹奏楽部が現実に存在するのではと思ってしまうほどです。

また、アニメ版の感想でも述べました通り、弱小部が強豪に生まれ変わっていく過程、そして強豪だからこそ起こるソロパート争い、という展開は胸を熱くさせます。

「響け!ユーフォニアム」石原立也 評価:4点|せつなく激しい人間関係が交錯する、波乱万丈の吹奏楽スポ根一筋縄ではいかない人間関係が交錯する波乱万丈の吹奏楽スポ根【青春アニメ】
2015年に放送された、高校の吹奏楽部を舞台にしたアニメーション作品。「涼宮ハルヒの憂鬱」や「けいおん!」を手掛け、深夜アニメ界隈では評価の高い京都アニメーションの制作です。原作は武田綾乃さんが著した同名小説であり、ライト文芸が全盛の文芸界ではありますが、どちらかというと昔ながらのジュブナイル青春小説という装いの作品です。「吹奏楽」がテーマなので、音声を入れられる映像表現でさらに磨きをかけられると思ったのかもしれませんが、ライトノベルでもライト文芸でもない原作で勝負をかけてくるところに、京都アニメーションが他のアニメ制作スタジオと一線を画そうとしている気概を感じます.そんな本作ですが、近年の深夜アニメでは稀にみる出色の作品であると感じました。昔ながらの「スポ根」的な要素を上手く現代に蘇らせた作品であり、なおかつ、人間関係を主軸としたヒューマンドラマを魅力的に描けている作品でもあります。時おり挟まる過度な、いわゆる「百合」描写を除けば、そのまま午後6~7時台で放送されていてもおかしくないような、そんな王道青春部活物語になっております。あらすじ舞台は京都府宇治市、主人公は高校の新入生である...

ただ、これほどまでか、と感じたのは小説全体としての冗長さと拙さです。

まず、「吹奏楽部の日常」描写が長すぎます。

吹奏楽部経験者のあるあるとしては面白いのかもしれませんが、物語テーマのモチーフや物語上重要なメタファーにもなっていない曲の特徴を長々と語ったり、楽器の手入れや吹き方などをやたら仔細に書かれても門外漢としてはさっぱりですし、理解できたとしても物語にそれが活かされないのでは苛々するだけです。

アニメ版では曲が実際に演奏されますし、楽器の艶やかさや手入れ、運指なども実際の動作として描写され、それがストーリーと(タイミング的に)同時に入ってくるためにテンポよく感じたのでしょう。

良く言えばアニメの素晴らしい脚本なのですが、小説としては冗長です。

加えて、一人称と三人称の混在で少し表現がおかしくなっているところが見受けられます。

神視点で物事に対して客観的な評価が下されるような文章と、久美子が主観で物事を感じ取る文章が無遠慮に混ぜこぜになっていることが読み手を混乱させます。

そういった文章表現の拙さに目をつぶることができ、なおかつ青春小説が好きなら楽しめるかもしれません。

第1巻だけで星をつけるとすれば、ぎりぎり星2つといったところです。

第2巻の感想

1. あらすじ

京都府大会を突破し、関西大会の出場権を得た北宇治高校吹奏楽部。

練習に励む久美子たちだったが、ある日突然、傘木希美(かさき のぞみ)という二年生が部への復帰を申し出る。

希美は一年前に起こった部員大量退部事件で退部した一人だった。

復帰を望む部員もいるものの、副部長であるあすかは希美の復帰をかたくなに拒否する。

その背景には一年前に起こった事件の残響と、フルートの名手である二年生、鎧塚みぞれの感情が関係しているようで......。

2. 感想

小説内の設定や物語展開をどこまで現実志向とするか、という問題は非常に重要であり、その小説の雰囲気を決定づける方針の一つです。

完全に妄想全開なライトノベルもそれはそれでよいと思いますし、もちろん、リアル路線の人間ドラマもまた共感と感動を誘うでしょう。

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