小説 「響け! ユーフォニアム」 武田綾乃 星2つ

響け! ユーフォニアム
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1. 響け! ユーフォニアム

京都アニメーション制作のアニメ「響け! ユーフォニアム」の原作小説です。著者は刊行当時現役大学生だった武田綾乃さん。

吹奏楽経験者だからこそという表現や、瑞々しい感性という点では評価でき、関西弁も面白かったのですが、ストーリーや文章力はまだまだという印象でした。

2. あらすじ

京都府立北宇治高校に進学した黄前久美子。中学校に引き続き吹奏楽部に入部するか迷っていた久美子だったが、同じクラスから吹奏楽部に入る友人たちの勧めもあって、流されるまま入部する。

そんな久美子を待っていたのは、新しく顧問になった滝昇による厳しい練習。元々はぬるま湯だった北宇治高校吹奏楽部。当初は部員たちも彼に反発するが、上手くなっていく楽しさに気づき、吹奏楽部はコンクールに向け奮い立っていく。

そんな中、花形であるトランペットのソロパート決めで波乱が起こる。部内オーディションの結果、三年生の中世古香織ではなく一年生の高坂麗奈がソロパートを吹くことになったのだ。

香織派と麗奈派に分裂してしまう吹奏楽部。多くの上級生が香織のソロを望む理由。それは最後のコンクールだということ以上に複雑な理由があって……。

ぶつかり合う情熱、交錯する感情。勉強、恋愛、そしてなにより部活。青春の明暗すべてが詰まった高校吹奏楽小説。

3. 感想

吹奏楽という題材や宇治という舞台は良いと思います。著者の経験や思い出が描写に生きていて、北宇治高校吹奏楽部が現実に存在するのではと思わされるほどです。

また、アニメ版の感想でも書きましたように、弱小部が強豪に生まれ変わっていく過程、そして強豪だからこそ起こるソロパート争い、という展開は胸を熱くさせます。

アニメ 「響け!ユーフォニアム ~北宇治高校吹奏楽部へようこそ~」 監督:石原立也 星3つ
1. 響け!ユーフォニアム ~北宇治高校吹奏楽部へようこそ~高校の吹奏楽部を舞台にしたアニメです。先日、第二期の第一話が放送されました。第一期がなかなか見応えあるものだっただけに大きな期待を寄せているのですが、ここではその期待の理由とな...

ただ、これほどまでか、と感じたのは小説としての描写の冗長さと拙さです。まず、「吹奏楽部の日常」描写が長すぎます。吹奏楽経験者のあるあるとしては面白いのですが、小説のモチーフやなにかのメタファーにもなっていない曲の特徴を長々と語ったり、楽器の手入れや吹き方などを書かれても門外漢としてはさっぱりですし、理解できたとしても、物語にそれが活かされないのでは苛々するだけです。

アニメ版では曲が実際に演奏されますし、楽器の艶やかさや手入れ、運指なども実際に描写され、それがストーリーと同時に入ってくるためにテンポよく感じたのでしょう。

良く言えば素晴らしいアニメの脚本なのですが、小説としては首をかしげるところであります。

加えて、一人称と三人称の混在で少し表現がおかしくなっているところが見受けられます。神視点で物事に対して客観的な評価が下されるような文章と、久美子が主観で物事を感じ取る文章が無遠慮に混ぜこぜになっていることが読み手を混乱させます。

そういった文章表現の拙さに目をつぶることができ、なおかつ青春小説が好きなら楽しめるかもしれません。

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