1. セミリタイアとは?
まず、タイトルを見て「セミリタイア」という単語に引っかかった方もいらっしゃると思います。
近年、一部界隈ではネットミームになりつつあり、人によって定義も様々な単語なので、一意に言い表すことは難しいのですが、ひとまず以下のように考えれば問題ないと思います。
「(自発的に)フルタイムでの労働を辞め、限定された労働や貯蓄の取り崩し、投資等から得られる利益で悠々自適な生活を送ること」
それは雇用延長をしない定年退職と同じなのでは、と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、概ねその通りだと言っていいでしょう。
フルタイム労働から(フルタイム労働では行えない種類の)自分らしい活動へと生活の主軸が転換するわけです。
確かに、フルタイムの労働から定年退職した後は趣味に打ち込んだりする方々も多いですよね。
ゲートボールや盆栽、海外旅行といったステレオタイプなものから、あっと驚くような趣味まで。
様々な生き方で第二の人生を楽しんでおられる姿を実生活・テレビ・インターネットでよく見たり聞いたりします。
しかし、インターネット上のセミリタイア界隈で「セミリタイア」という言葉が使われた場合、基本的にはより限定的な意味が示唆されています。
つまり、60歳や65歳という年齢よりも、著しく早い段階で生活をこの段階に移行するというわけです。
それでも、50代や40代でのセミリタイアがまだ現実的なのではないかと思われるかもしれませんが、30代や20代でのセミリタイアを敢行している方々も少なくありません。
(そういう方々こそセミリタイア界隈のリーディングインフルエンサーです)
それゆえ、「アーリーリタイア」という言葉が界隈ではセミリタイアとほとんど同義で使われたりします。
また、もう少し本格的で(本場的で?)、日経新聞等でも紹介されている言葉として「F.I.R.E.」があります。

これは「Financial Independent Retire Early」の省略形で、直訳すると「経済的独立・早期退職」という意味になります。
学術界でもそうですが、やはり、バズる「概念」はアメリカからやって来るものだとしみじみ感じますね。
さて、この「Financial Independent Retire Early/経済的独立・早期退職」ですが、初めて聞いたという方にとっては「経済的独立」という部分に引っかかりを感じるのではないでしょうか。
これは、投資等の自己保有手段によって生計を立てられており、生存のための賃金労働を(それほど)必要としないという状態を指しております。
考えてみれば当然のことで、フルタイムで労働をしない前提は、それをしなくても生計が立てられるということです。
様々な媒体における「F.I.R.E」記事を拝見したり、セミリタイア界隈の方々のSNSやブログを見る限りでは、株や不動産の投資を主力としている方々が多く、次点がブログ収益というあたりでしょうか。
それらの収益に加え、期間労働(リゾートバイトやコールセンター)やギグワーク(ウーバーイーツなど)で生計を補助している方々もいらっしゃるようです。
そう聞くと、「経済的独立」というのは、投機で一発当てたり、事業に成功したりした人物にしか当てはまらないか、もしくは、いわゆるフリーターと変わらない人間という両極しかいないのではないかと思われる方も多いでしょう。
しかし、まさにそれが、セミリタイア界隈が近年において盛り上がっている理由なのです。
いわゆる「普通」の人間、一般的な給与労働者・賃金労働者でもセミリタイアが夢ではないのではないか、現実的な選択肢なのではないか。
そういった展望が語られ、実際に会社員からセミリタイアを果たした人々による情報発信もあり、普通の人間によるセミリタイアという前代未聞の生き方が開拓されつつあります。
そんなわけで、私もセミリタイア界隈の影響を多大に受けた結果、セミリタイアを目指してみようという訳です。
2. どうやってセミリタイアをするのか?
2-1. 基本理論
ここまで、セミリタイアについての概念説明を行ってきましたが、ここからは数字の話です。
結局のところ、どのような方法でフルタイム労働によらず生計を立てていくのかというところ。
私としてはとりあえず、王道とされる株式投資をまず第一の選択肢としていきたいと思っています。
セミリタイアあるいはF.I.R.E界隈には有名な「4%ルール」という概念があります。
それは、株式に投じている資金の4%と年間支出を比較するというもの。
なぜ「4%」なのか、それはつまり、株式市場の成長率と関係があります。
これまでの超長期統計によると、米国市場(F.I.R.E概念は米国発なのでこの界隈では米国の例が多い)の年間平均成長率は7%であり、ここから、米国の超長期平均年間インフレ率(≒物価上昇率)である3%を引いた数字が4%になります。
つまり、資産(株式市場)の名目値は毎年7%自然増加し、支出(物価)の名目値は毎年3%自然増加するから、資産の実質成長率は4%である。
そう考えると、この自然に増加していく「4%」よりも年間支出が少なければ、単純理論上、労働をする必要が全くない、つまり、「経済的独立」が達成され、「早期退職」が可能になるというわけです。
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