オールタイムベスト 「映像作品」ベスト5

映像作品
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1. オールタイムベスト「映像作品」

平素は当ブログをご覧いただきありがとうございます。

「映像作品」カテゴリの記事数が70件を越え、そろそろお薦め作品を纏めた記事があってもよいだろうと思い、当記事を作成することにいたしました。全体的に辛い評価が多いと思われる当ブログですが、Best5ともなるとさすがに星5つと星4つの作品が多くなります。

当ブログは5点満点で作品を評価しておりますが、「評価の基準」を紹介した記事にも記載の通り、「普通」は星2つで、良作ならば星3つ、そして、星4つと5つは以下の定義に依っております。

星5つ:私を惹きつけてやまない、人生で何度も読み返したくなる名作中の名作
星4つ:おおむねねどの要素をとっても魅力的な、名作・名著に値する作品

そう、当記事で紹介する作品は「名作」ばかり。これを観ずには死ねないという珠玉の「名作」たちです。是非、紹介記事をご覧いただき、その魅力に気づいて頂ければと願っております。

第1位 「コクリコ坂から」 監督:宮崎吾朗

栄光ある第1位は「コクリコ坂から」。ジブリという王道を1位に選んだわけですが、宮崎駿監督が手掛けた往年の名作ではなく、宮崎吾郎監督の青春物語が私の1位です。

ジブリ映画といえば自然描写や不思議な世界観の見せ方が上手いことで有名ですが、この「コクリコ坂から」はどちらかというと脚本の「構成」が上手い作品で、物語好きとしてはそこに魅せられました。

まず上手いと思ったのは、「カルチェラタン」取り壊しを巡るいざこざの顛末。物語の舞台となる港南学園高校には「カルチェラタン」と呼ばれている文化部の部室棟であるのですが、これが学校側からの一方的な取り壊し通告を受けているという事実が判明するところから物語は動き出します。血気盛んな男子学生たちは抗議集会を開くなどして学校側に対抗しようとするのですが、そんな彼らのリーダーである風間俊(かざま しゅん)に主人公の松崎海(まつざき うみ、通称「メル」)がカルチェラタンの大掃除を提案するという展開が非常に粋で面白いんですよね。言論や署名運動等の「正論」で押していこうとする生徒たちの活発な姿にまず視聴者は惹きこまれていくのですが、「正論」での勝負ではなく、「大掃除を通じて自分たちがカルチェラタンを大切にしていることを見せる」ことによって存続を訴えかけていこうというのは意外ながらも腑に落ちる視点ではっとさせられます。祖母の経営する下宿屋「コクリコ荘」を手伝っているメルだからこその提案という点にも設定の妙が感じられます。

そして、カルチェラタン取り壊し騒動と並行して進むのが、メルと瞬との恋愛譚。非常に良い雰囲気になってきたところで、二人はもしかしたら異母兄妹かもしれないということが発覚して物語は暗転します。近づきたいけど近づけない、そんな繊細な手触りの距離感を保とうとして保ちきれない二人のもどかしさ。そして、たとえ兄妹であってもお互いがお互いのことが好きだということを確認した直後、兄妹ではないと分かるという展開にはその愛おしさと切なさで心が良い意味でぐしゃぐしゃになってしまいます。禁断の愛という枷から解き放たれた二人のあいだには、禁断の愛でも成就させようと決意した尊い関係性だけが残っているのです。

ジブリらしい美しい風景描写や音楽の美しさもさることながら、なによりも設定と脚本による物語の二転三転する流れがあまりにも見事な作品。一度見ればたちまち心奪われ、人生で何度も見返したくなること間違いなしです。

第2位 「SHIROBAKO」 監督:水島努

アニメ 「SHIROBAKO」 監督:水島努 その④:夢に立ちはだかるもの 星5つ
1. SHIROBAKO その④:夢に立ちはだかるものアニメ「SHIROBKAO」の感想第4弾。今回は本作品の(おそらく)メインテーマである「夢」について所感を述べたいと思います。といっても、夢については比較的わかりやすく表現しているのがこの作品(5人で一緒にアニメを作る・アニメに関わり続けていく)。特徴的なのは、夢を阻むものとして出てくる事例、そして、アニメという分野の中でもどのようなジャンルに夢を託そうとしているのか、そういった点だと思います。長くなってしまいましたが、これ(その④)が最終回ですので、お付き合いいただければと思います。その①~その③はこちらになります。2. あらすじ(第19話)外注したレイアウトは最低基準のクオリティも満たせず、そのことを指摘すれば外注先は逆切れして仕事を放棄する始末。ようやく仕事を承諾してくれたと思ったベテランの背景描きは突如行方をくらまし、新人や太郎といった他の制作進行もデスクである宮森あおいに次々に困難な判断を求めてくる。手詰まりの予感に「万策尽きた」と言いかける宮森。その時、先輩制作進行である矢野エリカが武蔵野アニメ...

第2位は「SHIROBAKO」。あまりに好きすぎて4つも記事を書いてしまった作品です。全24話の深夜アニメなのですが、並大抵の大作映画なんかよりも抜群に面白い作品に仕上がっています。

ざっくり言えば、新卒で憧れのアニメ業界に入った女性が慣れない「仕事」に悪戦苦闘しながらも成長していく話であり、その過程で光もあれば闇もあるアニメ業界の「現実」に触れていく物語になっております。

とはいっても、深夜アニメにありがちな薄ら寒い「萌え」描写は一切なし。むしろ、そんな深夜アニメ的なエンタメを作っていく裏側の過酷さ、つまり、「仕事」だったり「社会(人)」の圧倒的な世知辛さと僅かばかりの光明が絶妙なリアリティで描かれているのです。

アニメーション業界を取り巻く過酷な労働環境と低い賃金、その中でも「やりがい」に人生をかけて努力する人々の姿。アニメづくりの中核を担うのはぽっと出の若い新人ではなく、中堅・ベテランの人々。お腹の出た中年男性アニメ監督や、キャリアを積んできた妙齢の女性アニメーターがときに惨めなくらい葛藤してもがきながら作品をつくっていく姿には真に迫るものがあって惹きこまれますし、もうどうしようもないという現場の窮地を救うのが総白髪のベテランアニメーターという点も異様なほどの現実感があるのです。若い女性が非現実的な活躍で物事を解決してしまうという傾向にある昨今のフィクション作品潮流の中で、職場の現実に目を向けた構成がされているのは見事としか言いようがありません。

また、そんな「解決すべき課題」の発生元もこれまたリアリティに事欠きません。納期遅れ、意思疎通の齟齬、人材不足、怠惰によるクオリティの低下、上司・取引先の気まぐれ。いかにもアニメ的設定ではなく、私たちの日常で当たり前となっているようなトラブルが当たり前に発生します。フィクション作品では「トラブル」そのものが非現実的で萎えさせられることが多々ありますが、そんな心配とは無縁の作品。現実感のあるトラブル発生過程が生々しい焦燥を煽り立てるため物語にのめりこめるのです。

そして、なんといっても本作の魅力は「夢を追う人々の挫折と情熱」にあります。自分より若いのに自分よりもメディアに引っ張りだこの声優に対する屈折した嫉妬の描かれ方や、「上手く早く」原画を描くことができない自分へのいらだちなど、夢を追う若人たちがかっこ悪く苦しむ様子がこれでもかと描かれ、それでいて、はっとさせられるような展開からそんな挫折や壁を乗り越えて成長していく姿への感動はひとしおです。作中、主人公たちが取り組む作品はいわゆる「萌えアニメ」的な側面のある2作品なのですが(これもリアリティがあります)、主人公の宮森あおいがアニメ業界を目指す原点として挙げている作品が「山はりねずみアンデスチャッキー」という世界名作劇場系のアニメであることも良いですね。特定の「クラスタ」にではなく、普遍的で、誰にでも愛されるような作品を本当はつくりたい。そんな軸を持った主人公のひたむきな想いと行動にはいつだって息を飲むばかりです。

アニメ業界の苦節と快楽をエンタメと社会描写の絶妙なバランスで描いた「SHIROBAKO」という作品。数えきれないほどの美点を備えたTVアニメの傑作です。是非、ご視聴ください

木村珠莉 (出演), 佳村はるか (出演), 水島努 (監督) 形式: Blu-ray

第3位 「千と千尋の神隠し」 監督:宮崎駿

第3位は「千と千尋の神隠し」。あまりに有名過ぎてランキングに入れるのもおこがましい作品かもしれません。日本における歴代興行収入第1位の記録は未だに破られず、金曜ロードショーでの初回放映時視聴率は46.9%を記録しています。なによりアカデミー賞を受賞しているという点でその世界的な評価が分かるというものです。

さて、そんな「千と千尋の神隠し」の魅力ですが、なんといっても千尋がファンタジー世界においてが経験する苦難と冒険の数々によるエンターテイメント的興奮と、そのファンタジー的世界観が提示する現実世界に対する痛烈な皮肉の両立にあるでしょう。

両親が豚になってしまうという衝撃的な開幕、見ず知らずの館への侵入、突然に始まる油屋での過酷な労働、おぞましいまでに汚い客の相手。笑いあり涙ありの展開はその美麗で活動的なアニメーションにより一層引き立てられます。

そして、そんな一瞬一瞬の興奮もさることながら、新しくできた友人であるハクの抱える秘密が物語を牽引するミステリーにもなっているのがポイントでしょう。千尋が迷い込んだ不思議な世界に対する壮大な「謎解き」に対する興味と期待もまた視聴者の関心を画面へと惹きつけ続けます。

現実世界に対する皮肉に目を向けますと、豚になってしまう両親や、明らかに性風俗産業をモチーフにした油屋での労働、無限に金を生み出す太客カオナシの存在とそんなお金に群がる油屋の従業員たち。「お金なんていらない」と千尋に言われて動揺するカオナシの姿。現代社会において無限に膨張する欲望の醜さがよく描かれています。

しかも、だからといってそんな従業員たちや悪役の湯婆婆をステレオタイプに描くのではなく、例えば湯婆婆は身体を張って従業員たちを守ろうとするなど、非常に人間臭く描いているのも面白いところです。場面によって態度が違うハクも含め、人間の複雑さもよく描かれていて、全てのキャラクターがまるで実在するかのようにいきいきとしています。

そんな環境の中で過ごすうちに逞しく成長していく千尋。誰もがその変化にのめりこみ、つい感情移入して見てしまうことでしょう。

そしてなんといっても、本作随一の名シーンは千尋が数匹の豚の中から自分の両親を当てるシーン。最後の最後にあの緊迫した場面を持ってこれるのはまさに圧倒的な脚本術の力量が為せる技でしょう。あのシーンを見たことがないのならば、現実的に考えて人生の1割を損しているのではないでしょうか。

日本映画史に名実ともに燦然と輝く至高の一作です。楽しめないという人はいないでしょう。見たことがなければいますぐ見てみてください。

第4位 「時をかける少女」 監督:細田守

第4位は「時をかける少女」。夏のアニメ映画の中で最も定番の作品なのではないでしょうか。1960年代に刊行された筒井康隆さんの小説「時をかける少女」が底本なのですが、現代風に大胆なアレンジが加えられ、非常に面白い作品に仕上がっています。

ある日、「タイムリープ」の能力(過去に戻れる能力)を得た女子高生の紺野真琴が、当初は気ままにその能力を濫用して日常をさらに楽しく過ごすのですが、「友達」だと思っていた間宮千昭から告白されたことをきっかけに「タイムリープ」では変えられない人間の行動や心理に直面し、人生で本当に大切なことに気づいていくという話です。

本作はなんといっても序盤と中盤以降のコントラストが良いんですよね。序盤、真琴はタイムリープの能力をフル活用して自分の日常を都合よく盛り上げます。時間を繰り返せば、お小遣いは何度でも貰えるし、何時間だって遊べるし、何回でも二度寝できるし、大好物も望むだけ食べられる。テストだって問題が分かってから「戻れば」苦労しないわけです。そうやって、タイムリープで「あらゆること」が解決できるという錯覚を起こします。

しかし、千昭の告白から展開は急転直下です。千昭とは恋愛感情抜きの「友達」でいたいと思っている真琴ですが、何度タイムリープをしても千昭からの告白をなかなか回避することができないんですよね。なんとか回避したあと、今度は友達の藤谷果穂の恋を応援するためにタイムリープの能力を使い倒すのですが、それでも、その恋を上手く実らせることはできない。「タイムリープ」では解決できない人間の心理、真摯な想い(恋心)の尊さに真琴は気づくわけです。

千昭が勇気を振り絞ってしてくれた告白を「回避」しようだなんて、なんて馬鹿なことをしたんだろう。タイムリープを繰り返す中での苦い経験を通じて、人生の真理に気づく真琴なのですが、それに気づいた瞬間、千昭の正体が発覚して切ないラストへと雪崩れ込んでいくという脚本は見事としかいいようがありません。

笑いあり涙あり。楽しく切ない青春のひとときを見事に切り取った名作です。青春物語の王道で良い作品が見たいという場合、本作を選べば間違いありません。

仲里依紗 (出演), 石田卓也 (出演), 細田守 (監督) 形式: Blu-ray

第5位 「聲の形」 監督:山田尚子

第5位は「聲の形」。週刊少年マガジンで連載されていた同名漫画の映画化作品で、聴覚障がい者の少女をメインキャラクターに据え、障がい者へのいじめ問題から物語をスタートさせるというなんとも「派手」な作品です。

とはいえ、単に「障がい」や「いじめ」だけがテーマになっているのではなく、むしろ、様々な人間の生き様が混じり合って生まれる諍いと融和という大きな概念の中で物語が展開されていくのがポイントになっています。

上述したように、本作はまずプロローグとして、小学生時代のいじめエピソードから始まります。主人公は石田将也。典型的な「男子小学生」で、転校してきた聴覚障がいを持つ西宮硝子いじめの主犯格になります。しかし、いじめに耐えかねた硝子が転校してしまうと、クラスの全員で硝子をいじめていたにも関わらず、将也だけがいじめをしていたことになり、逆に将也がクラス中からいじめを受けるようになります。

いじめをしていたことを悔い、自身への仕打ちはいじめへの正当な天罰だと受け止める将也。高校生になると、将也はアルバイトを始めます。母親に養育費を返し、生きている価値などない自分を殺す、つまり自殺するためです。全ての準備が整ったあと、最後に硝子に謝ろうと将也は硝子に会いに行くのですが、そこではなぜか、硝子が将也のことを温かく迎えてくれる、というストーリー。

序盤の凄惨ないじめのシーンに惹きこまれ、クラスメイト達が豹変して将也をいじめ始める展開に戦慄し、高校生編での将也と硝子の出会いに興奮しさせるという、息もつかせぬ卓越した脚本術は圧巻の一言。その後、将也と硝子はかつて二人をいじめていたクラスメイトたちと出会っていくのですが、その友人たちの人間臭さがまたたまらないのです。人間とは弱いもので、つい他人をいじめてしまうものですし、いじめた自分を正当化してしまうもの。極端すぎるキャラクター造形を避け、リアリティとフィクションのちょうお中間にあるような性格のキャラクターたちは人間の嫌な部分を生々しく象徴していて、誰もがその中に自分自身の弱い部分、嫌な部分を見つけて目をそむけたくなるでしょう。

そして、そんな人たちとも繋がりを回復させていこうとする将也と硝子。しかし、二人の感情や思惑は通じ合ったり通じ合わなかったりして、もどかしい距離感に視聴しているあいだは身悶えしっぱなしです。人生とは辛く苦しいものですが、自責の念が強い二人にはそんな人生の重みがより一層深刻にのしかかります。硝子への贖罪を果たしたい将也と、自分がいるからみんなの友情が成り立たないことに気をもむ硝子の、両者の優しさがすれ違っていく切なさは特筆に値します。

起伏に富んだ展開がテンポよく流れていくエンタメ性と、単なるエンタメに留まらず、人間とは何か、社会とは何か、人生とは何かを深く問いかける真理性・普遍性を備えた名作。2016年公開と比較的近年の作品であるため古さも感じさせません。「近年の傑作」を挙げろと言われれば、私としては本作を推すところです。

入野自由 (出演), 早見沙織 (出演), 山田尚子 (監督) 形式: DVD

番外編 「ローマの休日」 監督:ウィリアム・ワイラー

上位5作品がアニメ映画ばかりになってしまいましたので、番外編として実写映画「ローマの休日」もお薦めに挙げておきます。このランキングに挙げるまでもないといえばそうですが、なんだかんだいって名作であることに間違いありません。

王室の退屈な生活に飽きて脱走した王女と、それをスキャンダルとしてスクープしてやろうと彼女に近づいた一人の新聞記者。新聞記者は証拠写真・音声を録るためにデートを持ちかけるのですが、この偽装デートが次第に本当のデートになっていくというお話。

スペイン広場でジェラートを食べる、「真実の口」に手を入れて遊ぶなど、ローマ観光での定番デートコースを比喩でなく「作って」しまったほど人気が出た本作。そんなロマンティック恋愛映画として鑑賞するのも楽しいですが、王女の成長もまた見どころ。

窮屈な王宮の生活に縛られ、「自由」を求めて逃げ出した王女ですが、どんな場所で生まれ、どんな場所で育ったって、誰にとっても「人生はままならない」ことに気づいていきます。そして、「自由を与えてもらって当然。それがないのはおかしい」という子供の思考から、「『人生はままならない』を受け入れつつも、そんな『人生はままならない』社会を変えるために自分の立場・役割で努力する」という大人の思考へと変化していく。その過程、成長物語としての「ローマの休日」もまた見事な作品に仕上がっています。

グレゴリー・ペック (出演), オードリー・ヘプバーン (出演), ウィリアム・ワイラー (監督) 形式: DVD

まとめ オールタイムベスト 「映像作品」ベスト5

全体的にアニメ映画が多くなってしまいましたね。これからは名作と呼ばれる実写映画も見ていきたいとあらためて思いました。新型コロナウイルス流行の影響でなかなか外出が難しい日々ですが、だからこそ、じっくりと映画鑑賞などいかがでしょうか。記事をご覧頂きありがとうございました。

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