東大教授などを歴任したドイツ文学者、竹山道雄氏が生涯で唯一記した小説です。1956年と1985年の2回にわたって映画化されておりまして、1956年版はアカデミー賞の外国映画賞にもノミネートされるなど評価の高い作品です。小説の方も毎日出版文化賞を得るなど、文学として高く評価されています。

確かに、小説としての技巧という意味では、本職の小説家が書いたわけではないのだなぁと思わせられる面が多々ありますが、戦争のやりきれなさ、そして鎮魂にかける想いの描き方は出色であり、意外な視点と豊かな発想力には驚かされました。

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