独特の絵柄と毒のあるストーリーで人気を集める漫画家、阿部共実さんの作品。「このマンガがすごい!2018オトコ編4位」という位置づけからも、ディープな漫画好きに好まれる作風が特徴といえるかもしれません。

中身を一言で表せば、「凝り過ぎて妙な方向に行ってしまった作品」。設定やストーリー、そして漫画としての表現手法まで、斜に構えた中高生が凝った作品をつくろうと思ったらこうなった、とでもいえるもので、通ぶった人々がこれを良作としてしまうことが危惧される作品でした。



〇あらすじ

中学校に入学した水谷茜だが、中身はまだまだ小学生。周囲が恋愛バラエティ番組を視聴するなか、世界の動物特集を好む彼女は友人からも子ども扱いされている。とはいえ、決して邪険にされているわけではなく、それどころか独特のキャラクターで人気者とさえいえる水谷。しかし、彼女自身は周囲との違いに戸惑いと孤独を感じていた。家庭でも大人びた姉と常に比較され、肩身の狭い思いをしている。

そして、県外の高校に通う姉が下宿から帰ってくる月曜日。やりきれない気持ちが溢れ出した水谷は家を飛び出す。向かったのは学校の校庭。気持ちを発散させる場所を求めてやって来た水谷だったが、そこには先客がいた。学校で不穏な噂を立てられ、不良に目をつけられている同級生、月野透。夜の学校で出会う、月曜日だけの友達になると約束する二人だったが......。


〇感想

とりあえずお勧め「しない」漫画ですね。登場人物のやたらに気取った文語調の話し方と、珍しい構図や緻密な背景の描き込みさえすれば「分かってる」感がでるだろうという、傲慢な心理が透けて見えるような作画。それらには辟易させられ、悪い意味で鳥肌が立ちます。もし、これが最初に手に取った漫画だったなら2ページで閉じてしばらく漫画には近づかないでしょう。

登場人物の考え方も無意味に幼稚で、普通の人は苛々すると思います。また、彼らを取り巻く環境設定もあまりに雑で、「万能な姉と未熟な自分」「両親の離婚」「兄の死」など、とりあえず悲劇的な要素を詰め込んでおきました以上の工夫がありません。はみ出し者どうしの友情、不良が実は...という使い古されきったテーマになにかを足し引きしたり捻りを入れることもなく、まさに中高生が初めて物語を書きましたというようなストーリー。web発の漫画が主流になる前の、10年前くらいのweb漫画サイトの中堅どころが相応しい立ち位置くらいに思いますが、これが平然と出版レベルと見なされてしまう出版業界の窮状には同情さえ覚えるほどです。最終盤のファンタジー展開も無理矢理で、そもそも月野が超能力を使えるという設定自体も物語上で有意な役割を果たすことなく、最後に登場人物が宙に浮かんでクサい台詞を言えばなんとなく劇的っぽいというだけの構成・表現になっています。

さすがにこれは買うだけ無駄でしょう。