明日も物語に魅せられて

読んだ小説や新書、教養書の書評ブログです。
アニメや映画の感想もたまに書きます。
やや辛口ですが、本当に良いものだけを
高評価にできればと思っています。




2018年07月

民放とNHKで延べ12回放映されているアニメ映画で、すっかり夏の定番となった作品と言えるでしょう。筒井康隆さんの有名原作に、「デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム」で頭角を現していた細田守さんを監督として迎え、「新世紀エヴァンゲリオン」のキャラクターデザインを務めた貞本義行さんと、「もののけ姫」の美術監督だった山本二三さんが脇を固めるという豪華布陣。ミニシアターでの上映から異例のロングランを成し遂げた出世映画でもあります。

非常に凝った脚本が素晴らしく、演出も「静」と「動」のバランスがとれていて、これからも定番中の定番であり続けて欲しいと思わせられる映画になっております。

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言わずと知れた名作中の名作。アカデミー賞受賞作品で日本における歴代興行収入第1位。金曜ロードショーでの初回放映時視聴率は46.9%を記録し、まさに伝説的映画と呼ぶべき作品です。大衆人気はもちろん映画通からの評価も高いようで、普段は分裂しがちな一般人気と映画好きからの支持を両方得ることに成功した稀有な作品でもあります。

内容も文句のつけようがない素晴らしいもので、今後、この「千と千尋」を超える作品が日本映画から現れるのかと思わせられるほどでした。

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1960~70年代にかけて一世を風靡した立原正秋さんの作品です。1966年に直木賞を獲っておりますが、それまでに芥川賞の候補になるなど、純文学も大衆文学もこなす万能の作家でした。本作は根津甚八さんと大竹しのぶさんの主演でテレビドラマにもなっています。

感想としては、現代の感覚からすれば「ありえない」作品です。それをもってこき下ろす人がいてもおかしくありません。一般的に考えれば、純粋な娯楽作品としてこの21世紀に読んで楽しい作品ではないでしょう。ただ、この作品・作家が「人気だった」ということを踏まえて読めば良い洞察を得られるのではないかと思います。

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近年、空き家や災害復興を中心に、住宅問題はとみにクローズアップされています。過疎化と少子高齢化が直撃している地方では社会問題化するほど空き家が増えておりますし、(特に東日本大震災の)災害復興においても、「これから人が増えることはない」ことを前提とする非常に困難な住宅や「街」の移転・再建が議論されています。

また、住宅問題とかかわりの深い「都市計画」という単位にまで視界を広げれば、都会もこの問題とは無縁ではでありません。東京やその周辺ではタワーマンションが林立して価格はバブルの様相。少子化のご時世に小学校が足りないなどという悲鳴が自治体から聞こえてくることさえあり、「保育所建設反対」問題がニュース番組やSNSを騒がせたりもしています。

そんな中でタイムリーな出版となったのが本書です。主に戦後の住宅政策について概説しつつ、「持家推奨」「開発優先」な日本政府の政策が今日の状況を招いたことが示唆されます。やや「政治」理論的な面が薄く、新しい概念の提示などがあまりないことは難点ですが、旬の「住宅政策」について総覧した、「これ一冊!」的教科書としては非常に優れた著作だと感じました。以前に平山教授の著書を紹介いたしましたが、その正当発展版ではないでしょうか。

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「政権交代期における政治意識の全国的時系列的調査研究」という日本の有権者の投票行動を研究するプロジェクトがあり、その研究成果をまとめたシリーズの一つが本書です。著者は関西学院大学の山田真裕教授。

どのような有権者がどのような考え方をもとに投票行動を行ったかを解き明かすというのが一応の主題ですが、特定の主張をするための本というよりも、上述の調査に寄って得られた生データ・アンケート結果の統計処理後データインデックスのような役割が強いように思えます。いくつかは興味深い分析結果があり、イメージ論で政治を語る前に読んでおきたい一冊です。

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アニメ「SHIROBKAO」の感想第4弾。今回は本作品の(おそらく)メインテーマである「夢」について所感を述べたいと思います。といっても、夢については比較的わかりやすく表現しているのがこの作品(5人で一緒にアニメを作る・アニメに関わり続けていく)。特徴的なのは、夢を阻むものとして出てくる事例、そして、アニメという分野の中でもどのようなジャンルに夢を託そうとしているのか、そういった点だと思います。

長くなってしまいましたが、これ(その④)が最終回ですので、お付き合いいただければと思います。その①~その③はこちらになります→その①その②その③

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コミカルな作風ながらアニメ業界の光陰を絶妙に表現しているアニメ「SHIROBAKO」。その感想第3弾です。その①では主人公格の5人、その②では周囲の脇役(特にベテラン勢)を中心に記述いたしましたが、今回はもう少し視点を広く持ち、「お仕事」アニメとしてのSHIROBAKOに焦点を当てていきたいと思います。

宮森あおいが「武蔵野アニメーション」に就職し、アニメ業界人/社会人としての苦しみや喜びを体験していく、というのがこの物語の最も簡潔な紹介になることは前編でも述べましたが、アニメーション業界に関わらず、「仕事」一般にまつわる多くの真実を抉りだしているのがこの作品の特徴。リアルな事例を出して視聴者に生々しさを感じさせながら、フィクションのエンターテイメントとしての見せ方も優秀であり、むしろその相乗効果が傑作に仕立て上げているといえるでしょう。

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アニメ業界で働く人々を描いたアニメ、「SHIROBAKO」の感想第2弾です。言いたいことが多すぎて一つの記事には纏められず。前回は主人公格の若い女性5人について書きましたので、今回は周囲を取り巻くベテラン勢に焦点を当てたいと思います。

美男美女・少年少女アニメだらけの中で、現実的に考えてしかるべき年齢の人達がしかるべき仕事をするこのアニメ。しかも、業界は軍隊でも特殊部隊でも農業でも宇宙○○でもなく、泥臭いアニメーション業界。他の作品とは一線を画す素晴らしい労働描写がこのSHIROBAKOの持ち味です。

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「海と毒薬」や「沈黙」で有名な、戦後日本文学を代表する作家の一人、遠藤周作の作品。解説でも「軽小説である」と言及されている通り、遠藤周作の名声を押し上げた文学作品たちとは一線を画す、すらすらと呼んでいける青春小説です。

このように紹介するのも、多分に時代性のある大衆文学過ぎまして現代の小説として通用するとは言い難く、小説の構成上も難ありと思った次第。やはり遠藤周作は重厚な文学作品にこそ本領を発揮するのでしょう。

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