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からかい上手の高木さん

「劇場版 からかい上手の高木さん」赤城博昭 評価:2点|日常系ラブコメの新機軸を打ち出した原作の雰囲気をそのままに表現した小さな感動作【アニメ映画】

2013年から小学館の月刊誌(ゲッサンmini→ゲッサン)に連載されているラブコメ漫画「からかい上手の高木さん」をアニメ映画化した作品。テレビシリーズもしくは原作漫画を鑑賞していることが前提の劇場版となっております。原作は所謂「日常系」のラブコメなのですが、ギャグを中心としたコメディ路線でもなければ、ハーレム的な路線でもなく、主人公が何らかの努力で意中の女の子を「落とす」という昭和・平成古典路線でもない、という点がまず原作の特徴だと言えるでしょう。それでは一体、原作は何をする漫画なのでしょうか。既読者には分かりきったことでしょうが、高木さんという中学生女子が西片という同級生男子に悪戯を仕掛け、西片が動揺するのを楽しむという過程を、西片目線で楽しむという漫画です。突き放した見方をすれば、自分が特に何もしなくても同級生女子が自分のことを好きになってくれて、その女子が好意の照れ隠しとして悪戯を仕掛けてくれるという、圧倒的な精神優位の状態で敢えて弄ばれるのを楽しむ作品となっております。(読者側からすれば高木さんが西片を好きなのは明白だが、超純粋中学生男子という設定の西片はそれに気づいていない。...
ファイトクラブ

「ファイト・クラブ」デヴィッド・フィンチャー 評価:3点|現代資本主義社会がもたらした精神的鬱屈に対して、奇妙で斬新な処方箋を提示する作品【アメリカ映画】

1999年に公開されたアメリカ映画であり、今日でも評価が高いハリウッド映画の古典作品の一つです。「ベンジャミン・バトン」や「ソーシャル・ネットワーク」、「ゴーン・ガール」といった作品を後に製作することになるデヴィッド・フィンチャー氏が監督を務めております。大物俳優の出演としては、主人公の相棒であるタイラー・ダーデンをブラッド・ピットが演じており、さすがの演技で魅了してくれます。不眠症に悩んでいるサラリーマンの主人公が「殴り合い」による充実感を得ることで精神的な変貌を遂げていく、というストーリーラインが鬱屈した日常を送っているであろう多くの日本人サラリーマンに刺さること請け合いでしょう。私もそんなサラリーマンの一人だけあって、序盤から中盤までの展開には興奮させられましたが、中盤以降の展開についてはやや突拍子もないものに感じられました。社会派といえばそうなのでしょうが、「社会」を描くにしては手管が大雑把過ぎるように感じられ、大仰な展開に見合うだけの説得力や感情的な揺さぶりが欲しかったところです。あらすじ主人公の「僕」は大手自動車メーカーでリコール調査の仕事に就いている。十分な給料を得ており...
ジョーカー

「ジョーカー」トッド・フィリップス 評価:2点|格差社会における現代的な貧困が生んだ「無敵の人」による凶行を描いた点に注目が集まったバッドマンシリーズのスピンオフ【アメリカ映画】

アメリカンコミックの名作である「バッドマン」は映画シリーズとしても人気ですが、その「バッドマン」シリーズにおける悪役の一人、ジョーカーの過去を描いた所謂スピンオフが本作の位置づけとなります。とはいえ、本作が世界的に大ヒットした理由は「バッドマン」人気とは別のところにあるのです。本作の主人公であるジョーカーことアーサー・フレックは精神疾患を持った中年男性であり、僅かな賃金を得られていた職業としての道化すらクビになって貧困に苦しんでいます。認知症を患っている母と二人暮らしで、介護にも時間と気力体力を奪われる生活。彼の未来には一切の「希望」がありません。彼には失うものが全くないのです。インターネットスラングを用いるのならば、アーサーは「無敵の人」となってしまったわけです。そんな「無敵の人」が辿る人生の行方、その過程の描き方、演出方法が異常なリアリティを持っている。そういった、いわば社会派映画としての側面において本作は世界的に好評を博しているようです。しかしながら、個人的な感想といたしましては、凡庸な作品に感じられました。確かに、「無敵の人」のリアリティを描いているだとか、格差が蔓延る希望なき...
ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー

「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」アーロン・ホーバス 評価:3点|世界的な大人気ゲームシリーズがそのまま映画になって登場。手堅い面白さに一献の工夫が加えられた良作【アニメ映画】

1985年に発売されて以来、世界で圧倒的人気を獲得してきた「スーパーマリオ」というテレビゲームシリーズ。そのゲームの世界をテーマとした初のアニメーション映画が本作となります。「スーパーマリオ」というゲームシリーズ自体がアクションに重点を置いたゲームであり、ストーリー性がほとんど存在しないことから、そもそもどのような映画になるのか分からないといった前評判でしたが、ふたを開けてみれば文句なしの世界的大ヒットを記録しています。アニメ映画だけに限れば興行収入は「アナと雪の女王」シリーズの1と2に次ぐ3位につけているらしく、世界のアニメ映画界に金字塔を打ち立てたと言っても過言ではない作品となっております。そんな本作でしたが、なるほど、世界的に有名なゲームであるという下地がよく考慮されている作品であり、アクション面やストーリー面において、原作シリーズのどれかを一度でもプレイしたことがある人ならば安心感を持って楽しめる内容だと感じました。加えて、これまであまり語られてこなかった主人公兄弟(マリオとルイージ)の出自を掘り下げるような演出もあり、その点においても濃やかな配慮がなされているのには感心いたし...
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